近年、SCM(Supply Chain Management)の全体最適化を脅かす致命的なリスクとなる突発的事件が頻繁に発生するようになったため、本研究では、そのような非常事態に備えるために、サプライチェーンの管理項目である柔軟性や俊敏性などに関わるケイパビリティを向上させ、サプライチェーン断裂の状態から迅速に修復できるレジリエンスの増強が差し迫った課題と認識し、その研究に取り組んできた。 最終年度である今年度では、今までの先進例調査や実地訪問などの調査結果に基づき、とりわけ、製造業において異なった生産方式と環境要因との適合的な対応基準を定めることによって、SCR(Supply Chain Resilience)に備えるべきケイパビリティが増強できることが検証された。 そして、近年、クラウドコンピューティングやビッグデータ処理などIoT(Internet of Things)関連技術の飛躍的な進歩、および多分野における適用と更なる応用の動向に注目し、3年間の調査と研究分析を通じてIoTの活用によるSCMの高度な情報化が達成し、両者の相乗効果によるSCRの改善が期待できることが論証された。 また、SCRの実現には、サプライチェーンの構造設計、管理モデルやネットワーク構築など組織構成に必要な基本要素の整備状況が重要な関連指標となっており、サプライチェーン全体の基本要素の整備と持続的進化において組織のイノベーション創起能力の促進と拡散が不可欠であることが検証された。
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