本研究は、スウェーデンの企業統治における対話型労使コミュニケーションの実態を明らかとすることを課題とした。スウェーデンの企業統治は、取締役会への従業員参加を制度的に保証し、また共同決定法にもとづき、経営上の意思決定に関する従業員代表(職場労働組合)と経営者との協議も義務づけている。これら制度を通じて、実際にスウェーデンの主要企業における職場労働組合と経営者とは、経営上の様々な意思決定について情報を共有しており、時に従業員代表としての利害と、経営上の意思決定の内容とが対立する局面を持ちながらも、そのバランスを取りながら労使コミュニケーションに根ざした企業経営を行っていることが明らかとなった。
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