研究課題/領域番号 |
16K03842
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研究機関 | 川口短期大学 |
研究代表者 |
山本 重人 川口短期大学, その他部局等, 准教授 (50533147)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 経営学 / 経営組織 / 組織デザイン / コンテンツ / コンテンツ産業 / コンテンツビジネス / プロデューサー / プロデューサー・システム |
研究実績の概要 |
本研究は、芸術性および商業性双方で優れたコンテンツを開発できる組織および分業関係がいかなるものなのかを検討していくことで、マクロ組織の視点でコンテンツ産業の発展に寄与することを長期的な目的としている。そして、方法としては、各コンテンツの製作組織であるプロデューサー・システム(プロデューサー・監督・資金の出し手の主たる三者で構成されるコンテンツの製作組織・分業システム)の比較を行い、その差異を指摘する方法を採用している。今年度はCMとニュース番組におけるプロデューサー・システムを比較検討した。以下、得られたインプリケーションを簡潔に指摘しておく。 まず、CMにおけるインプリケーションの1つ目は、CM製作においては、クライアントの意向の確認は欠かせず、クライアントの意向の反映が作品内容をより良いものとしているということである。ある商品では、クライアントである商品開発担当や宣伝担当が練った、その商品の設定や物語があり、そうした商品全体の背景や商品そのものの知識はプロデューサーよりクライアントの方に知識があり、そのためにクライアントのチェックは欠かせないということである。2つ目は、プロデューサーの「制作」への関与は、他のコンテンツ産業と比べて弱いものの間接的には存在していることである。「制作」の役割を担っているディレクターにアイデア出しの助言を行うなど、プロデューサー自身の一定の「制作」職能への関与が見受けられた。 ニュース番組の方で得られたインプリケーションは、ニュース番組はクリエイティビティを重視して「制作」がなされておらず、「製作」と「制作」の分業関係を製作組織の中に見つけることができなかった。言い換えれば、コンテンツ産業における製作組織であるプロデューサー・システムはコンテンツ産業に固有の組織形態であり、分析モデルであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究成果として論文を2本執筆し、今後の研究の進展に関係する周辺領域の研究者との交流による研究課題の再確認といった成果があった。ただ、新規のインタビュー先の確保・インタビュー調査の実施ができなかったため、その点は課題である。
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今後の研究の推進方策 |
昨今の経営学においては一般的な分析枠組みとして「ビジネスモデル」という分析枠組みが用いられている。費用-収益構造・組織・戦略など経営全体を俯瞰した上で経営を構成する各要素を分析するという考えである。この分析枠組みの立場に立てば、これまでの「プロデューサー・システム」というコンテンツ産業に固有の組織の枠組みを中核に据えた上で、費用-収益構造・戦略など周辺の論点も組み込んで研究を進めていく必要があると思われる。そのため、当初計画していたコンテンツ産業における各産業のプロデューサー・システムの実態調査だけでなく、ビジネスモデル論の理論的整理、およびコンテンツ産業におけるビジネスモデル論も追加のリサーチクエスチョンとして研究を進めて行きたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規のインタビュー調査の実施ができなかったため、謝礼が発生しなかったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
インタビュー調査を順次実施していきたい。
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