研究課題/領域番号 |
16K03849
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐野 享子 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (10334020)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ラテラル・マーケティング / 商品開発 / マーケティング・リテラシー |
研究実績の概要 |
本研究は、熟達したマーケターが価値創造の際に生成している実践知がいかなるものであり、それらをいかにして生成しているかを実証的に解明することを目的としている。 今年度は以下の2つの視点から研究を進めた。 1)新たな付加価値を生みだした優れた商品開発の事例として、大学(大学教員や学生)が主体になった商品開発に着目し、それら商品開発がいかなる思考法の元で実現した可能性があるのか検討を加えた。具体的には、創造的思考法をベースにした「ラテラル・マーケティング(lateral marketing)」の理論を用いて、大学が主体となって開発した265商品の事例を分析し、それら商品開発の基底にラテラル・マーケティングの思考法をどのように看取することができるのか分析した。 その結果大学主体の商品開発においては、市場レベル又は製品レベルのラテラル・マーケティングを適用することが可能であることが明らかになるとともに、ラテラル・マーケティングの実践においては、一定の手順に基づくプロセスが必須であるとする考え方に固執しないことが重要であることが示唆された。 2)上記の成果を踏まえ、大学職員がいかにしてマーケティング・リテラシーを身につけるかとの問題意識から、研究代表者が実施した大学職員を対象とする研修の成果を分析し、考察を加えた。 その結果、複数の概念的知識の関係性を捉えながら、それらの知識と問題状況との写像(マッピング)が効果的に行われるような研修が、実践知生成に対して有効であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
商品開発の事例収集が順調に進んだため、分析の準備が効率的なものとなった。
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今後の研究の推進方策 |
第1に挙げられるのは、分析対象事例の拡大である。今年度の分析対象において看取されなかったマーケティング・ミックス・レベルのラテラル・マーケティングを、大学における商品開発に適用し得るのか否か、分析対象事例を増やして検討する必要がある。 第2に今年度検討した事例を対象に、商品開発に携わった当事者へのインタビューを行い、ラテラル・マーケティングの実際について具体的に明らかにするケーススタディを行うことが重要と考えられる。 以上を進める際には、いかなる思考のプロセスが基盤となってラテラル・マーケティングの実現に結びついたのかを明らかにすることが今後の研究課題となる。具体的には、熟達したマーケターのみならず、非熟達者もケーススタディの対象とし、理論的飽和が見られるまで事例を追加して分析することとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 本研究のテーマに沿った研究会やシンポジウム等が都内で頻繁に開催されたことから、本研究の課題解明に資する事例の情報収集等について、遠隔地への旅費を支出することなく、効果的・効率的に研究を進めることができたため。 (使用計画) 新たな事例を追加してケーススタディを行うため、遠隔地に所在する事例も候補に入れて、本研究の課題解明に相応しい事例の選定を行いたい。また、最終年度のまとめに向けて、学会発表の旅費と報告書作成のための経費として使用したい。
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