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2016 年度 実施状況報告書

プラットフォーム企業の技術ポートフォリオと市場成果分析

研究課題

研究課題/領域番号 16K03850
研究機関筑波大学

研究代表者

立本 博文  筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (80361674)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード経営戦略 / 国際経営 / プラットフォーム企業 / プラットフォーム戦略 / 技術経営 / オープン標準
研究実績の概要

本年度は(i)特許ポートフォリオの作成のためのデータセットの整備・情報処理環境の構築および予備的な分析と(ii)プラットフォーム企業の既存研究整理とプラットフォーム戦略の成功要因について統計的な分析を行った。
(i)についてはUSおよび日本の特許について、USPTOおよび日本特許庁から公開されているバルクデータセットを分析環境に取り込み、統計処理対象として利用可能なようにデータ特性の把握やクレンジングをおこなった。特許データについてUSと日本で公開している形式に相違がある。このため、別個に処理を行った。また公開している特許データ全部を対象としているので、大量データになるため、情報処理環境についても新しく整備を行った。
(ii)についてプラットフォーム戦略についての既存研究を整理し、また、いくつかの研究について追加的な分析を行った。プラットフォーム戦略について一貫した視点で分析するためには、このような既存研究整理と追加分析が必要であった。この結果、半導体製造装置産業のデータセットを用いた分析では、統計的な分析にもとづいてプラットフォーム戦略を評価できることを示すことができた。また、これらの研究を一貫した分析枠組みの下でまとめ、学術研究書として発刊することができた。
この学術書は1990年代以降のアーキテクチャ研究、オープン標準研究、プラットフォーム戦略研究を統合的に扱うためのフレームワークを提示している。また、このフレームワークを用いて、携帯電話産業、半導体製造装置産業、パソコン産業、電子部品産業、自動車エレクトロニクス産業といった多彩なビジネスエコシステムでのプラットフォーム企業の戦略行動を分析している。とくに1990年代以降、プラットフォーム企業の国際展開が盛んになり、プラットフォーム企業のグローバル戦略が学術上のテーマとなってきている。このような学術的関心に答える形で、既存研究を1冊の学術書にまとめた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

USおよび日本の特許データセットを情報処理環境にとりこむ作業は、新しい情報処理環境の構築も含めて、非常に工数のかかるプロセスであった。しかし、本年度中にそのようなプロセスを行えたことは大きな進捗があったと考える。ただし、データクレンジングや指数作成のためのデータ整合性確保などにさらに時間を費やす必要があると考えられる。これは、今後の研究の関心と進捗度に応じで発生する作業である。
データ整理作業と並行して、定量分析で用いる新しい統計的手法についての理解を行い、実際に分析できる情報処理環境を整えることも行った。より柔軟な統計分析を可能にするため、ベイズ推定などの新しい推定手法をとりいれた。これにより、今後さらに深い理解が必要であるが、より柔軟なモデルの推定が可能になる。この意味で研究上の進展であるといえる。
成果公表について3本の査読付き論文をパブリッシュし、1件の学会発表を行った。さらに、既存研究に追加的分析をおこない、新しく実証研究を追加して、1冊の学術書としてまとめた。このような学術書による学術成果の発表は、本分野に大きな貢献をすることができたと考える。

今後の研究の推進方策

本年度、特許データセットの取り込みおよび情報処理環境の構築を行い、予備的な分析を行った。今後の研究としては、このデータセットを用いて本格的な分析を行う。まず、研究計画書にもあるように、複数の方法をもちいて、特許ポートフォリオを作成し、それら方法間の優劣を評価してみる。また、これらの結果を実務家とともに評価することで、実務家から見てどのような有用性があるのかも、併せて評価を行う。

次年度使用額が生じた理由

特許データの取得について、当初、有料の商用データセットを使用しようと計画していた。しかし、USおよび日本の特許等よりも無料でバルクデータが公開されていることを知り、検討の結果、無料のバルクデータを用いて、自らデータベースを構築するようにしたため。

次年度使用額の使用計画

自らデータベースを構築するようにしたため、データ取得に関してはコスト削減したが、逆に、データ整備・クレンジングなどには、よりコストがかかることが想定される。また、大量データであるので、情報処理の環境の整備も引き続き行う必要がある。これらのコスト増加に対して、次年度使用額で対処していきたいと考えている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 競争ダイナミクスの文献サーベイ2017

    • 著者名/発表者名
      柴田健一・立本博文
    • 雑誌名

      赤門マネジメントジャーナル

      巻: 16(3) ページ: 印刷中

    • DOI

      10.14955/amr.0160726a

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] グローバル・エコシステムでのプラットフォーム戦略の成功要因―半導体製造装置産業の実証研究―2017

    • 著者名/発表者名
      立本博文
    • 雑誌名

      赤門マネジメントジャーナル

      巻: 16(2) ページ: 61-104

    • DOI

      10.14955/amr.0161116b

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] カニバリゼーションを原因とした同質化の遅れ:日本のビール業界における新製品発売の実証研究2017

    • 著者名/発表者名
      柴田健一・立本博文
    • 雑誌名

      組織科学

      巻: 50(3) ページ: 45-56

    • 査読あり
  • [学会発表] グローバル・エコシステムでのプラットフォーム戦略の成功要因:1990年代から2000年代のパネルデータを用いた半導体製造装置産業の実証研究2016

    • 著者名/発表者名
      立本博文
    • 学会等名
      組織学会
    • 発表場所
      兵庫県立大学(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2016-11-03 – 2016-11-03
  • [図書] プラットフォーム企業のグローバル戦略:オープン標準の戦略的活用とビジネス・エコシステム2017

    • 著者名/発表者名
      立本博文
    • 総ページ数
      395ページ
    • 出版者
      有斐閣

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公開日: 2018-01-16  

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