研究課題/領域番号 |
16K03855
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
藤原 雅俊 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (20411019)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 経営戦略 / ビジネスモデル / イノベーション / 動態的変化 / 消耗品収益モデル |
研究実績の概要 |
2020年度においては、ビジネスモデルの設計とその動態的変化に関する問題意識の精緻化と事例探索を進めた。 まず、問題意識の精緻化については、以下の通りである。近年、ビジネスモデルの設計は大きな注目を浴びるところであり、「成功するビジネスモデル」に関する興味関心や議論が高まっている。しかしながら、ビジネスモデルは大きな関心を集めるが故に先進的なモデル設計に関する競争も激しく、いったん設計したビジネスモデルを長期にわたって全く変えずに維持することは決して容易ではない。従って、多様な環境変化に合わせてビジネスモデルを改変していくことが、長期的な持続的競争優位を構築していく上で、より重要な経営課題となる。この考え方に基づき、本研究では、「成功するビジネスモデル」そのものを調査・探索するのではなく、環境変化に応じたビジネスモデルの改変過程を辿り、ビジネスモデルの動態的な改変メカニズムを明らかにすることに分析の焦点を定めていく。2020年度においては、先行研究を読み込み、レビューすることを通じて、以上のような問題意識を精緻化することを実施した。 次に、事例探索に関して記すと、2020年度においては雑誌記事や新聞記事の広範な調査を進めた。ビジネスモデルに関する記事を収集し、それを精査するための基盤を整えることに力を注いだ。また、オンライン取材を通じて、当該研究テーマに関する実態について情報収集を行なった。年度を通じて、今後の研究調査を進展させるための基盤づくりを行なうことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は新型コロナウイルス感染症対策のため、出張機会が制限されていたことから、当初計画していた活動を止めざるを得なかった。これが遅れの原因である。しかしその一方で、問題意識を精緻化する際の先行研究の振り返りに時間を割くことができたとともに、記事を中心とする2次資料の収集も進めることができたことから、大幅な遅れにはならず「やや遅れている」という進捗判断となる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策としては、2020年度までに整備した情報をもとに、更なる事例探索を進めることを念頭に置いている。例えば、ウォーターフォール型からアジャイル型へと開発スタイルを変容させようとするソフトウェア開発企業がどのようなビジネスモデルで事業展開を遂げるのか、それを顧客企業にどのように説得するのか、といった分析を重ねることが、一例として想定される。また、インクジェットプリンタ業界におけるビジネスモデル転換の進捗状況を市場調査によって確認することも併せて行ないたいと考えている。こうした事例探索を進展させる際には、次第に一般化・常態化しつつあるオンライン取材を積極的に活用して1次情報の収集にも努めることを計画している。さらに、これらの事例調査を進めつつ、研究成果の発表機会を模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルス感染症対策により研究活動に若干の遅れが生じたため、いくつかの研究計画を次年度に移行させた結果として、次年度使用額が生じるところとなった。使用計画としては、情報収集活動を実施するとともに研究発表機会を模索することを予定している。
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