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2018 年度 実施状況報告書

戦前期3組織の内部労働市場分析ー人事データを用いた比較研究ー

研究課題

研究課題/領域番号 16K03865
研究機関山口大学

研究代表者

川村 一真  山口大学, 経済学部, 准教授 (20634736)

研究分担者 藤村 聡  神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00346248)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード内部労働市場 / 所得格差 / 人的資源管理論 / 人事の経済学
研究実績の概要

本研究の目的は,戦前期の3組織(鐘紡,兼松,東京市役所)の人事記録を用いて,職員たちの処遇がどのように決まるのか,統計学を用いた推定を行うことであった.2018年度の研究の成果は以下の通りである.
第1に,教育(学歴)の効果を推定する際に用いる操作変数の有力な候補を発見したことである.職員の処遇に対する教育の効果は先行研究の中で多くの関心を集めており,本研究でも学歴は重要な説明変数の1つとして位置付けられている.しかし,我々のデータセットの中には職員の能力を示す変数が含まれておらず,欠落変数の問題が懸念され,バイアスを含んだ推定に陥るおそれがあった.その1つの対処法として知られているのが操作変数法である.先行研究の渉猟及び研究分担者との議論の結果,「出身地」が操作変数の有力な候補になりうるという結論に至り,それを含む史料へのアクセスについてもある程度見通しがついた.
以上の点を改善し,より学術的意義のある推定結果を得るため,2019年度より新たな研究が開始することとなった(「戦前期日本企業の学歴に基づく所得格差:「特殊」と言われるほど大きいのか?」課題番号:19K01719).人事記録を用いた処遇の推定は,こちらの研究で継続して進めていく計画である.
第2に,計画から大幅に遅れている東京市役所の人事記録のデータ化を進めた.入力のための雇用を増員した結果,概ねデータセットは完成した.残すのは入力ミスの確認と修正である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

平成29年度にデータセットの作成のために雇用した学生たちが,個人的な都合を理由に作業を行わず,データ入力がほとんど進まなかった.学生たちはその間,作業を行う意思を研究代表者に示し続けていたため,他の学生を代わりに雇用することもできなかった.データセットが完成しなければ,統計的な分析も行うことができない.その結果,当時の遅れを現在も取り戻すことができていない.

今後の研究の推進方策

上述の通り,2019年度から始まる新しい研究(課題番号:19K01719)の中で,本研究で作成したデータセットに出身地を加え,職員の処遇に関する推定を進めていくこととなった.
そこで,本研究では2019年度に i) 欠落変数の問題があるが,これまで行った分析の結果をワーキングペーパーとして出版する.ii) 時間の制約から一部のサンプル(例えば1934年時点で勤続年数が5年の東京市役所の職員)にのみ出身地を加え,そのサンプルを用いた予備的研究を行う予定である.これにより,当初の目的に沿った研究の成果を公表することができ,また新しい研究課題への引き継ぎも円滑に行うことができると考えられる.

次年度使用額が生じた理由

上述の通り,データセットの作成に遅れが生じており,それを用いた分析に着手できていない.そのため,データ入力のための謝金の一部や英文校閲費,学会報告に関連する費用,論文の投稿料などが次年度使用額として残っている.
2019年度は,これまで行った分析結果を元にワーキングペーパーを出版すること,サンプルの一部を用いた予備的研究を行う予定である.そこで,次年度使用額はデータセットを完成させるための謝金,予備的研究の成果を研究会や学会で報告するための諸費用,英文校閲費として使用する計画である.

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公開日: 2019-12-27  

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