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2017 年度 実施状況報告書

転居転勤の経営合理性と社会的受容に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K03866
研究機関香川大学

研究代表者

青木 宏之  香川大学, 経済学部, 教授 (00508723)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード地域職社員 / 雇用ポートフォリオ / 非正規雇用
研究実績の概要

2017年度は、小売業を中心に事例調査を進めた。調査対象各社の雇用ポートフォリオ、配置管理、人材育成などについて検討し、一定の研究成果を得ることができた。同時並行的に、来年度以降の研究対象である製造業についても、文献収集、資料調査等の準備を進めた。
小売業の調査においては、特に下記の点を明らかにすることができた。
第一。総合職の異動の決定要因に関しては、スーパーでは管理職になるために必要な業務の種類、本人の成長にとって必要な店舗規模や管理職能のレベルなどが強く考慮されていた。アパレル専門店においても、それが決定要素の一つではあるが、店舗業績の向上が優先されており、売上の落ち込んでいる店舗の強化を目的とした配置管理が行われていた。
第二。いずれの企業においても、地域職社員の活用が進展していることが確認できた。地域職社員が、店長はもちろん、10程度の店舗を統括するエリア長にまで昇進する企業も見られた。地域に限定した雇用形態の広がりについては広く知られているところであるが、その活用がここまでに至っているという点については、意義のある発見と考えられる。
第三。総合スーパーではパートを売場長にまで昇進させることが一般的となっているが、そのように基幹化したパートを店舗間異動させられないことのデメリットが人事部に認識されていることも確認できた。非正規の基幹化が進めばこの点がいっそう人的資源管理上の課題となると考えられる。今回の調査企業の中には、パートを通勤可能圏内で店舗間異動させている例も見られたが、こうした動向については今後も注視していきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2017年度は、総合スーパー3社、アパレル専門店2社から協力を得て、事例調査を実施することができた。従業員の異動の問題を検討する本研究において、幅広く店舗を展開する小売業は重要な位置を占めている。小売業の場合、地域職社員やパートの活用が進んでおり、そうした異動に地理的制約のある従業員の配置管理について明らかにすることが肝要となる。2017年度の調査において、総合職だけではなく、そうした従業員の配置管理について明らかにできたことは成果の一つであった。なお、この研究成果については、香川大学のワーキングペーパーにまとめている。
また、2018年度は製造業について検討を進めるが、その準備作業を同時並行的に進めることができた。

今後の研究の推進方策

2018年度は、製造業を主要な研究対象とする予定である。本研究が焦点を当てる従業員の転勤や異動の問題は、企業系列や請負といった問題とも関わっている。特に日本の製造業は長期安定的な企業間の取引関係を広く形成しており、こうした研究課題に取り組むには製造業が相応しい対象といえる。そこで、主に日本の電機産業および鉄鋼産業に焦点をあてて、請負会社の経営や発注企業との関係性についての検討を進める予定である。
なお、当該年度およびこれまでの調査の成果は、論文・ワーキングペーパー、あるいは学会発表などを通じて公開する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 小売業における配置管理と人材育成2018

    • 著者名/発表者名
      青木宏之
    • 雑誌名

      The Institute of Economic Research Working Paper Series

      巻: 213 ページ: 1-15

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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