最終年度前年度までは、企業のおこなう雇用管理あるいは大企業と中小企業との請負関係を主に分析してきた。本年は、この領域の問題をより多角的に理解するために、労働組合の活動に目を向けた。 2019年9月1日には日本鉄鋼労働組合連合会OBの岩崎馨氏のコーディネートによって「ものづくり産業労働組合JAM」、「UAゼンセン」などの専従オルグ、「労働調査協議会」の研究員などによる研究会を開催した。そこで、これまでの研究成果を報告し、労働運動の実務に関わる関係者からのコメントをいただいた。また、9月13日には自治総研の研究会に参加し、公務部門の労使関係と組合活動の現状について学んだ。 冬以降には、そこで得た知見とネットワークを活用して、いくつかの労働組合への実態調査をおこなった。2019年11月29日には「自動車総連」、12月5日には「UAゼンセン香川県支部」、1月16日には「自動車総連香川地協」、2月7日には「JAM四国」へのインタビュー調査を行った。こうした調査を通じて、産業別労働組合あるいはその地方支部による中小企業や非正規労働者などへの組織化活動、春闘の要求作成過程や交渉過程などを明らかにした。 本年度の調査結果は、現在までのところ事例調査レコード(非公開)として青木研究室に保管している。今後、分析を加えて論文としてまとめ、公表したいと考えている。
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