研究課題/領域番号 |
16K03872
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
赤羽 淳 横浜市立大学, 国際総合科学部(八景キャンパス), 准教授 (30636486)
|
研究分担者 |
土屋 勉男 桜美林大学, 経済・経営学系, 教授 (20514178)
井上 隆一郎 桜美林大学, 経済・経営学系, 教授 (70438076)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 製品設計 / 工程設計 / ドメイン設計 / 二次サプライヤー / 能力構築 / 進化経路 |
研究実績の概要 |
本研究は、自動車産業を事例にアジアの中小地場部品企業を比較分析し、その進化経路(イノベーションプロセス)の違いを明らかにする。具体的には、製品・工程設計能力の向上を軸とし、日系企業に多い「ものづくり指向型」と、顧客と事業の多角化を軸とし、タイ・中国企業に多い「ドメイン指向型」を規定する要因を探る。また、前者の進化過程には、顧客の貸与図から自社設計図面で顧客の承認を得る承認図に移行できるか否かの「自社製品設計能力の壁」が、後者には異なる部品・加工を扱えるか否かの「異なる部品・加工方法の壁」が存在するため、それらを克服するための条件も明らかにする。対象はアジアの自動車生産大国である日本、タイ、中国、インドとし、その中小部品企業の進化経路を多面的に検証し、日系自動車企業のアジア調達戦略に対する実務的示唆も引き出す。本研究では、これまでの研究成果を土台に、以下の三点を研究課題として設定している。 ①中小部品企業の二つの進化経路である「ものづくり指向」と「ドメイン指向」の規定要因は何か。(部品の種類、主要な工法、経営者の思想、企業家精神、企業国籍、市場環境、競争環境、関係的技能(企業間での技能移転)、市販品(自社製品)展開力…などの要素から検討。) ②「ものづくり指向」で製品設計能力を獲得した企業、「ドメイン指向」で異なる部品・加工方法へ進出した企業は、いかにして「壁」を克服したのか、その克服の条件は何か。 ③日本とアジアの地場中小部品企業を比較し、上記の点でどのような共通点と相違点があるか。また、そこから引き出せる日系自動車企業のアジア調達戦略に対する実務的な示唆は何か。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、過年度の研究成果の発表に主に注力した。具体的には2016年6月にGerpisaのInternational Colloquim、産業学会全国研究会で発表を行った。また同友館から、関連著作を出版する手はずをつけ、現在、鋭意原稿を執筆中である。また、関連論文をInternational Journal of Automotive Technology and Managementに投稿したが、微修正のうえでの採用が決定した
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は学会発表、出版の決定、国際学術誌への掲載決定という形で、本研究の枠組み、学術的価値が大きく認められた年となった。今後は、引き続き本研究の枠組みにもとづき、対象国の拡大を行いたい。具体的には、インド、中南米諸国を考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、物品費や人件費・謝金の支出が想定よりも下回った。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は、アジアへの出張を計画しているので、そこでの費用として有効に使用する予定である
|