研究課題/領域番号 |
16K03874
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
石井 真一 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (70315969)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 製品開発 / 国際経営 / 自動車産業 |
研究実績の概要 |
平成29年度における研究活動では、理論構築に向けた学会発表や論文・ワーキングペーパー等の執筆、およびそれらに向けた連携研究者・海外共同研究者との打合せ・研究会等を含む準備作業と、海外製品開発事例の調査を中心的におこなった。これらの研究活動では、製品開発という企業の機密事項を扱う点から、調査データの処理・蓄積・公表は慎重に実施した。また、本研究の調査活動においては工学的な専門用語が少なからず含まれ、また国内外の企業の事業拠点における調査では、日本語だけでなく、英語でのインタビューもあるため、調査内容の文書化過程ではデータの正確さの確保にも配慮した。調査内容の公表に際しては、調査先企業との共同確認作業や、対象企業の成員も参加する研究会の開催等により、調査内容の正確性を確保し、調査内容の公表が対象企業に不利益をもたらすことのないよう対処した。また、インタビュー等によって得られた調査データの文書化・管理等については、研究代表者が直接おこなった。これらの研究上の方針・手法はこれまで長年にわたる研究活動の中で、研究代表者がすでに実施してきたものである。このような研究の方針・手法を通じて、調査対象の企業から本研究に対する信頼・協力も得られ、これまでの研究成果の公表にもつながっている。また、本研究の方針・手法は、企業活動の歴史的経緯を丹念に解明する研究アプローチに適しており、さらに研究経費の抑制の点等でも有効であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インタビュー調査では、従来からの自動車企業の海外開発事例に関する追加調査とあわせて、これと比較可能な複数の市場・企業への調査をおこなった。インタビューは従来の実績(12年間で約300名)をもとに開発技術者やデザイナー、生産管理担当者等をおもな対象としておこなった。一定の調査データを収集・分析し、それを元に理論構築および学会発表等を通じた再検討を行い、さらなる調査と理論構築を行う、という一連の調査研究プロセスの前半を実施した。その成果の一部については2018年度に、(A)論文等:(1)石井真一著「海外拠点における製品開発機能と人の現地化:トヨタ自動車の米国開発拠点の事例分析」『日本経営学会誌』第38号、64-75頁、2017年4月、(2)石井真一・趙怡純著「台湾國瑞汽車における経営現地化の事例分析」『OCU-GSB Working Paper Series』No. 2017204、2017年11月6日、1-16頁、(3)石井真一著「トヨタの米国開発拠点における開発試作機能の現地化」『OCU-GSB Working Paper Series』No. 201804、2018年3月6日、1-12頁、(B)学会発表:石井真一「海外拠点における開発試作機能の現地化―トヨタ自動車の米国拠点の事例―」日本経営学会関西部会関西部会例会、於:追手門学院大学、2017年12月2日、により発表した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究発表や論文執筆等を通じた理論研究と、海外製品開発の事例調査を推進する。理論構築では連携研究者・海外共同研究者との討議や学会・研究会等における議論を通じて、データ分析や構築する理論の妥当性について検討する。これらを踏まえた上で論文等を執筆し、本研究を内外で幅広く発信し、国際経営・技術経営分野における理論の発展に貢献することを目指す。事例調査では主に北米、欧州、アジア等における現地拠点や国内拠点においてインタビューを行う。特に海外調査では、なるべく学会参加や現地研究者との打合せ等とあわせて実施して費用対効果を高める。これらの調査活動や研究発表、また研究内容に関する討議・再検討、論文等の執筆・公表、研究課題の提示を含む研究活動を行う。 ただし、本研究で新たに収集する調査データの公表については、内容の正確性や分析結果の妥当性等にも配慮しつつ、調査先との調整・確認作業も行いながら慎重に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に、2017年度に実施していない海外学会参加と物品購入を予定しているため。
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