研究課題/領域番号 |
16K03877
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
文堂 弘之 常磐大学, 国際学部, 教授 (30337290)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | M&A / TOB / 買収プレミアム |
研究実績の概要 |
2016年度の内容は、全サンプルの買収目的属性を特定するための作業を、目標所有比率および事前所有比率、売り手主導/買い手主導、先行TOBの有無、事前合意の有無、主導者の種別の点から行うことであった。この作業を計画通りに進めているが、判断を留保する必要があるケースなどに伴う若干の遅れがでている。 この作業とは別に、学会報告および論文執筆を行った。学科報告では、買収プレミアムは、ターゲット企業の価値に対する市場の評価と買収者の評価の相違を反映しているとの考え方に依拠し、残余利益モデルを用いて日本のTOBターゲット企業の理論価値と時価総額の乖離率を算出して、買収プレミアムおよびその他の関連指標との関係を分析し、差の検定および単回帰分析から、乖離率が高および中程度のサンプルにおいて、乖離率と買収プレミアムが有意に負の関係にあること、乖離率は、自己資本・残余利益倍率および資本コストを反映している可能性などを報告した(2016年9月19日(月)に開催された証券経済学会(明治大学))。 論文では、日本企業を対象としたTOBにおいて、プレミアム案件でもディスカウント案件でも、残余利益モデルに伴うターゲット企業の理論上の株主価値が買収プレミアムと有意にプラスの関係をもっていること、どちらの案件においても、ターゲット企業の株主資本簿価が買収プレミアムに最も影響を与えていることなどを明らかにした(『常磐国際紀要』第21号、2017年3月、17ー40ページ)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全サンプルの買収目的属性を特定するための作業において、当初想定していなかった複雑な事例が出てきており、これをどのように扱うかに関して検討する時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度の遅れ分を含めて、計画通りに進める。ただし、2016年度の場合のように、想定していない複雑な事例については、項目を新たに追加して作業を進める可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画では、全サンプルの買収目的属性を特定するための分類作業を行う中で、第1次資料である公開買付届出書に記載された情報を元に行う基礎作業の後に、日本経済新聞社NEEDSデーベースおよびレコフM&Aデータといった第2次資料からの情報によってデータを精緻化する応用作業に入ることとしていた。しかし、基礎作業において、当初想定していなかった複雑な事例が出てきており、これをどのように扱うかに関して検討する時間を要したため、年度内には応用作業に入ることができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
基礎作業が終了次第、日本経済新聞社NEEDSデーベースおよびレコフM&Aデータといった第2次資料からの情報を用いて応用作業を行う予定であるため、使用を計画している。
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