2002年から2013年までに実施された日本企業に対する他社株TOB612件の買収プレミアムとTOB取引属性(応募承諾株式比率、目標所有比率、事前取得比率、ミスバリュエーション指標A、同B)の関係について、フルサンプルと8つのサブサンプル(対象企業株価モメンタムの上昇と下落、株式市場モメンタムの上昇と下落、両モメンタムの上昇と下落の組み合わせ)間の有意差を、3つのプレミアム水準サンプル別に分析した。その結果、対象企業株価と株式市場それぞれの株価モメンタムは、どちらもTOB取引属性と買収プレミアムの関係に対して有意な影響を与えているが、影響の方向と程度については対象企業株価モメンタムでは取引属性間の結果においてまったく統一性はない一方で、株式市場モメンタムではある程度の近接性がみられること、対象企業株価と株式市場を組み合わせた株価モメンタムはTOB取引属性と買収プレミアムの関係に対して有意な影響を与えているが、影響の方向と程度についてはTOB取引属性および株価モメンタムの組み合わせにより多様であること、対象企業株価および株式市場株価の組み合わせモメンタムは、対象企業株価モメンタムのみおよび株式市場モメンタムのみのTOB取引属性と買収プレミアムの関係に対する影響では説明できない影響力をもっていることが明らかとなった。
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