研究課題/領域番号 |
16K03880
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研究機関 | 江戸川大学 |
研究代表者 |
安田 英土 江戸川大学, 社会学部, 教授 (40327242)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | グローバル・イノベーション / グローバルR&D / 多国籍企業 / 研究開発国際化 |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究取組を踏まえ、本年度は以下の取組を行った。 (1)日本企業の海外R&Dマネジメント上の課題-昨年度までの研究取組によって、日本企業における海外R&Dマネジメントには、経年的に見て、大きな変化がないことを確認できた。本年度は、日本企業による海外R&D活動の機能や役割が段階的に進展しているのかどうか、改めて分析を行った。分析結果は、(i)一つの拠点が段階的に機能を発展するケースは少ない可能性が高い。他方、拠点の活動目的・機能を研究から製品開発・事業支援に変更する例が観察される。(ii)現地拠点と第三国拠点との連携も強化されているとは、言い難い状況にある。といった特徴を示した。従って、日本企業における海外R&D活動が、段階的に発展してきたとは断言できない。 (2)日本企業におけるグローバル・イノベーションの実践-Govindarajan & Trimble(2012)らで示された新興国発イノベーションが実現する可能性は、日本企業の場合、低い事が予想される。こうした原因を探るために、本年度は日本企業の海外R&D拠点生存率について分析を行った。海外R&D拠点の閉鎖・統合などが頻繁に繰り返されれば、現地発のイノベーションが実現しにくいことが予想される。分析の結果、2006年3月に調査を行った海外R&D拠点39拠点のうち、7拠点が廃止されていた。このため生存率は82%となる。さらに1991年末に存在していた日本企業の海外R&D拠点の生存率を分析した結果、24.5%という数値が得られた。これらの結果を欧米企業を対象とした分析結果と比較すると、生存率がやや低いように見える。今後は、海外R&D拠点閉鎖要因の精査を行う必要もあるだろう。 なお、今年度の取組を通じて得られた上記研究成果については、論文、学会発表で公表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、初年度に日本企業と在日外資系企業に対するグローバル・イノベーションに関する調査票調査を実施し、次年度に日本企業在外子会社に対するグローバル・イノベーションに関する調査票調査を予定していた。加えて、同時並行的に訪問インタビュー調査を実施し、計画二年度目終了までに分析用データの収集を行う予定であった。しかしながら、これまでの研究成果の取り纏め並びに再分析によって、当初計画の分析方針・研究推進方針を修正・精査する必要性が生じた。このため、当初、計画していた調査票調査ならびに訪問インタビュー調査の実施が遅れている。本年度はこうした調査を早急に進め、研究の推進を図る。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、日本企業と在日外資系企業に対するグローバル・イノベーション取組調査を早急に実施する。昨年度、実施できなかった訪問調査も合わせて実施し、調査票収集データと訪問調査収集データの突合を行う。これらの作業によって分析用データの作成を行い、分析を実施すると共に、研究の取り纏めを実施する予定である。 さらに、過去データ分析によって得られた研究成果については、取り纏めを行い、書籍としての成果公表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 計画当初予定していた調査票調査ならびに訪問インタビュー調査を実行できなかったため。 (使用計画) 調査票調査ならびに訪問インタビュー調査を早急に実施し、未使用金をこの費用に充当する。
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