研究実績の概要 |
R&D活動の国際化研究の領域において、早い段階から国際的R&D活動を類型化する試みが行われてきた(Rondstadt,1977等)。しかしながら、、多国籍企業の国際的なR&D活動が複雑化、高度するにつれ、こうした類型化モデルも発展し続けてきたと言える(Kuemmerle,1997; Gammeltoft,2006等)。 他方、多国籍企業における国際的なR&D活動は、開発途上国へ展開するなど、地理的な面の拡大に加え、開発途上国からのイノベーション創出も指摘されるなど(Govindarajan&Trimble, 2012)、従来の類型論では新たな動きを説明することが困難になっていた。かかる認識に基づき、本研究では、国際的なR&D活動に止まらず、グローバル・イノベーションの類型化モデルの開発を目指すとともに、この新しく開発した類型化モデルによって、新たなグローバル・イノベーションを説明しうる事を実証的に示し、グローバル・イノベーション研究に新たな分析フレームの確立を目指す事とした。 本研究では、日本企業の海外R&D子会社を中心とした海外現地法人にアンケート調査を行い、日本企業におけるグローバル・イノベーションの実態に関するデータ収集を試みた。この結果、これまでにイノベーションに実現した海外現地法人は、少なからず存在しており、日本企業においてもグローバル・イノベーションの実現に成功している企業の存在を示す結果となった。 他方、調査対象企業の場合、海外R&D活動からイノベーションを実現するプロセスが、海外の拠点・活動だけで実行する体制になっていない様子も見られ、国内の拠点・活動と結合したモデルを構築する必要性が示唆された。このため、当初、開発を意図したグローバル・イノベーションの類型化モデルについては、更なる検証と改良を継続的に進め、頑強性の高いモデルに進化させる。
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