研究課題
本研究の目的はサプライチェーン(SC)における組織間協働がチェーン全体のパフォーマンスに与える影響を、ゲーミングシミュレ ーションによって得られる実データを解析することによって明らかにすることである。30年度は、当初の研究計画通り、これまでの研究結果を元にして国内学会発表と、論文投稿、および国外学会発表のための投稿を行った。ゲーミングを用いたSC戦略行動の変化およびSCマネジメント教育の効果に関する統計分析と、組織間知識共有が戦略的行動とSCパフォーマンスに及ぼす影響に関するシミュレーション分析の2側面から複数の研究発表を行った。研究期間全体を通して得られた現実社会への知見は大変意義深い。中でも、一般的に効果が高いと認識され重視されている市場需要予測について、これに偏重することがSC全体のパフォーマンスに及ぼす負の影響や、戦略の優劣に関わらず、協働して戦略を練ろうとする姿勢、共通認識の存在が及ぼす顕著な正の影響、ゲーミングを用いたSC教育効果などを実証的に示せた意義は大きい。また、統計分析とシミュレーションという2種類の研究方法を用いているところが本研究の大きな特徴のひとつであるが、システムダイナミクス(SD)を用た分析でも、実証分析における需要予測偏重への負の効果を裏付ける結果を得られたことは興味深い。また、在庫量誤認やSC組織間での発注調整、リーダーシップといった要因から戦略のパターンを探った。研究を通して今後の研究の大きな可能性としても様々な知見を得ることができた。本研究の主にSC教育におけるリスクテイキングとリスク回避行動に関する研究成果をまとめた論文をStrategic Management Society Annual Conference Minneapolis に投稿し、採択された。本国際会議での報告は2019年10月に米国にて行われる予定である。
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Proceedings of SMS Annual Conference in Minneapolis
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