研究実績の概要 |
平成28年度は、オンライン証券業界における取締役会とCEOのパワーについてのデータの収集を行った。具体的には有価証券報告書ならびに公開資料で収集が可能であった企業29社の収集を行うことができた。これと並行して、研究を成功させるために最重要となる仮説構築の精緻化を行った。既存研究、これまでの申請者の研究、ならびに業界データを元に導出さらに検討を加えることを中心的な作業として行った。具体的には、今年度は、計画した2つの作業仮説を検証することからはじめた。 作業仮説1:財政状態が悪いほど、取締役会の独立やCEOのパワーは、企業存続に正に働く 作業仮説2:ヘビーユーザーが好む戦略を早く取り入れた企業ほど、企業生存に正に働く 作業仮説1については、「そもそも財政状態が悪い企業が撤退していなかった(Takai, 2017)」ということを明らかにすることとなったため、作業仮説1は支持されない結果となったものの、「CEOのパワーはパフォーマンスに有意に効く」という結果を得ることが出来た。また、作業仮説2については概ね支持された。なお、本年度に刊行された成果は以下の通りである。 Ayako Takai (2017). What Kind of Companies Are Withdrawing?: The Case of the Japanese Online Securities Industry,“Annals of Business Administrative Science”, Vol.16, No.1, 41-54. 高井文子(2017). 市場黎明期における競争と学習の「盲点」『横浜経営研究』第37巻第3・4号pp.47-61
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