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2017 年度 実施状況報告書

協働プラットフォームの創発・発展における仲介者の行為・意味形成・学習に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K03900
研究機関法政大学

研究代表者

稲垣 京輔  法政大学, 経営学部, 教授 (10327140)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード質的研究 / 起業家活動 / 伝統産業 / 協働 / プラットフォーム
研究実績の概要

本年度は、ヒアリング調査を中心にしながら、データ収集を主におこなった。研究計画当初の調査対象に加えて、京都における伝統工芸産業の再生を目的とした協働プラットフォームを構築する主体(C)と参加する主体(P)に対しても、合計で15回に及ぶヒアリング調査をおこない、そのデータセットをNVIVOを使って整理することが主な作業であった。
これらの作業を通じて得られた結果は、主体(C)における起業家活動のプロセスが協働プラットフォームの構築に対して極めて重要な影響を及ぼしていることがわかり、主体(P)に対するヒアリングは1~2回程度にとどめて、主体(C)に対してKCPプロジェクトと呼ばれるプラットフォームの構築に到るまでの、起業家活動としての事業プロジェクトの立ち上げについてより詳しいヒアリングを行った。合計で6回に及ぶIn-depth型のヒアリング調査を実施して質的なデータセットを構築した。
本データはKCPプロジェクトにアドバイザーとして参加し、事業の内部からすでにデータセットを構築しているESSCA Ecole de Management教授のXavier LESAGEにも公開し、様々な角度から検証した上で、2人での共同研究としてベンチャー学会全国大会で、主体(C)の行動が、いかにエフェクチュアルな意思決定とコーザルな意思決定の狭間を往復しているかについての報告を行った。
本報告をもとにワーキングペーパーを共同で執筆したものの、質的データの扱い方と得られた結論(理論的貢献と実践的貢献)をめぐってまだ意見の分かれる部分があり、その検証作業が遅れているため、公開には踏み切れていない。本研究の成果としてはそのペーパーだけであるが、次年度におけるヨーロッパでの報告に備え、鋭意改定作業を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度も前年度に引き続き、ヒアリング調査を中心にしながら、データ収集を主におこなった。昨年度までは大阪のクリエイティブクラスターの形成にして中心的な活動を行なっているクラスターマネジャーと呼ばれるフリーランスのクリエイターが聞き取り調査における主な対象であったが、本年度は、京都の伝統産業における協働プラットフォームを形成する主体に研究対象の中心を移すことによって、当初の予定にはなかったフランス人デザイナーと京都の伝統産業における協働に関してもデータを収集することとなり、その結果、事例の背景となる新たな資料の収集も必要となったことから、そのための時間を要した。
事例のバックグラウンドを含めたメモと、ヒアリングのデータについては、KCPプロジェクトにアドバイザーとして参加し、事業の内部からすでにデータセットを構築しているESSCA Ecole de ManagementのXavier LESAGE教授にも公開し、様々な角度から検証をおこない、。その上で、2人での共同研究としてベンチャー学会全国大会で、協働のプラットフォームを構築する主体の行動が、いかにエフェクチュアルな意思決定とコーザルな意思決定の狭間を往復しているかについての報告をおこなった。
また、本研究の代表者が本年度末の3月より在外研究に入ることとなり、上述のESSCA Ecole de Managementに客員研究員として着任したため、より密に連携することによって、これまで収集を行ってきたデータの見直しをおこなった。その結果、本報告をもとにワーキングペーパーを共同で執筆したものの、質的データの扱い方と得られた結論(理論的貢献と実践的貢献)をめぐってまだ意見の分かれる部分があり、その検証作業が遅れているため、現状では公開には踏み切れていない。

今後の研究の推進方策

次年度は、最終年度となるが、研究代表者がフランスに入ったために、パリを中心としたクリエイティブ産業における起業家活動を支えるエコシステムについての調査へと発展が期待されている。これまでの研究成果から、協働プラットフォームを形成する主体の行動を、チームプロジェクト、そしてインキュベーションにおける各種プロジェクトがどのように協働の場として機能しているかについて、引き続き調査をおこなう。調査対象については、すでにAteliers des Parisと呼ばれるパリ市の直轄で運営されるクリエイターの起業家を育てるインキュベーションを中心としながら、どのような活動によって協働が成立しているかについて、これまでの手法と同様のヒアリング調査をおこなう。
その上で、これまでの研究成果が、協働プラットフォームを形成する主体の起業家活動にフォーカスされてきたのに対し、来年度に新たに執筆される論文は、形成主体と参加主体の双方に焦点を合わせて、チームマネジメントを主題としたものになる予定である。これらの2つの研究成果は、前者に関しては、5月にポーランドのワルシャワでEIASMの主催で開催され1ST WORKSHOP ON ENTREPRENEURSHIP: CULTURE AND INSTITUTIONSにおいて、そして後者においては11月にスペインのトレドで開催されるRENT 2018 - RESEARCH IN ENTREPRENEURSHIP AND SMALL BUSINESSにおいて、それぞれ報告される予定である。それらでの報告でのフィードバックを踏まえてフルペーパーを改定したのちに、前者に関してはベンチャーズレビューに、後者に関しては、フランス国内の学術雑誌への投稿を予定している。

次年度使用額が生じた理由

年度末に予定していた調査が、在外研究への準備と重なり、実施することができなかったため。
そのため、次年度においては、代替的にフランス国内での日本とフランスを結ぶ協働プラットフォームの形成に関する調査において、ヒアリング調査に必要な経費と成果報告に必要な経費(主に出張旅費)を計上する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 伝統産業における企業家活動を通じたイノベーション2017

    • 著者名/発表者名
      稲垣京輔 グザビエ・ルサージュ
    • 学会等名
      日本ベンチャー学会

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公開日: 2018-12-17  

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