ミドル期以降の知識労働者が,社内,社外において効力感を高く保つための要因を明らかにするために,サーベイリサーチ(質問紙調査と統計分析)を行った。シンクタンク,通信,システム開発などの企業から,1000名を超えるIT技術者,コンサルタント,金融の専門職の協力が得られた。分析の枠組みは,若年期からの経験からの学習と,ミドル期以降の再学習行動が,社内と社外における効力感に与える影響を検証するものであった。分析の結果,次のようなことが明らかになった。 ①高度で不確実性の高い仕事の経験,マネジメントの経験,同僚や他部門,社外との交渉・協働の経験が,多くの学習につながることが明らかになった。 ②それらの経験は,ミドル期以降に新しい挑戦を行う等の再学習行動も強化することも明らかになった。 ③経験から学んだものの中で,自己発見や自己変革が,社内外の効力感につながっていることが分かった。同様に,ミドル期以降に新しい仕事への挑戦することが,社内外の効力感につながっていることが分かった。 ④さらに,高度な専門性を持つことや外部ネットワークの形成が社外効力感を高め,マネジメント能力を持つことが社内効力感を高めていることが分かった。
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