研究課題/領域番号 |
16K03910
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
林 正 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (50434270)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 経営学 / 国際経営 / 立地選択 / 海外子会社 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、海外子会社の立地選択に関する文献のレビューに加えて、独自の実証分析を行うために、1990年以降の日本企業の海外子会社を対象として、以下の3つの作業を進めた。(1)欧州各国における日本企業の海外子会社の住所に、そのストリートおよび郵便番号単位での地域統計分類単位(NUTS)を統合する作業、(2)当該住所にGeonamesを用いて緯度と経度を付与する作業、(3)日本企業の海外子会社の業種コードと欧州連合統計局(Eurostat)が纏める欧州共同体経済活動統計分類(NACE)の統合作業、である。欧州各国における郵便番号の表記方法はそれぞれ異なっており、また年によって表記方法が変わる場合がある。また、海外子会社の住所の表記方法は必ずしも統一されておらず、大まかなものも含まれる。そうしたことから、海外子会社の地理情報を得るには、膨大なデータの視認を伴う手作業が必要とされた。現段階では、欧州22か国における日本企業の海外子会社の観測数99,008件(子会社×当該子会社が存在した年)に対して、2010年、2013年、および2016年のNUTSのコードを付与している。また、製造業についてはEurostatのNACE 2.2とNACE1.1を、各海外子会社に付与する作業が完成している。これらのデータから、販売活動を行う海外子会社は製造や研究開発のみを行う海外子会社と比べて、ホスト国の首都やグローバル都市を含むNUTSに立地する傾向を持つことが見いだされた。今後は、各NUTSにおける現地企業と本国他社の集積を変数化し、それぞれの特化型と都市型の集積が、海外子会社の立地選択に及ぼす影響について、定量的な検証を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この研究では、日本企業の海外子会社が立地する場所の緯度と経度を含む地理情報を利用するが、当初利用を計画していたデータベースでは、各海外子会社の地理情報に関する詳細なデータを包括的に利用できなかった。そのため、各国の地理情報に関するデータを収集し、それを各海外子会社の住所のデータに統合する作業が必要とされた。そのデータの収集と統合の作業には膨大な労力と時間がかかり、当初の研究計画よりも遅れが生じてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに作成したデータベースを用いて、各地域における現地企業と本国他社のそれぞれの特化型と都市型の集積が、製造、販売、研究開発の各活動を行う海外子会社の立地選択に及ぼす影響について定量的に検証する。その研究成果を学会報告と学術誌への投稿を通じて発表する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外子会社の地理情報に関するデータベースの作成には、当初の予想を上回る時間が必要とされた。そのため、分析を開始する時期や学会発表の申し込みが遅れてしまい、これらを次年度に行うこととした。次年度に必要となるのは、主に研究成果の発表を目的とした国内外の学会への参加費用である。
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