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2016 年度 実施状況報告書

研究開発者の育成に寄与する人的ネットワークに関する実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K03911
研究機関同志社大学

研究代表者

宮本 大  同志社大学, 経済学部, 教授 (30434682)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード人的資本 / 人的ネットワーク
研究実績の概要

本年度は、(ⅰ)研究環境の整備、(ⅱ)初年度から分析に使用可能なデータの整備、(ⅲ)データによる研究開発者の人的ネットワークの構造や特徴についての検証に加え、ⅳ)研究開発者の人的資本蓄積と創造的活動との関係に中等教育がどのように影響しているかを検討した。
主な成果は以下の通りである。ⅲ)について、多様なネットワークをもつ研究開発者ほど仕事パフォーマンスを高めるとされる創造的行動をとる傾向が強いだけでなく、実際に特許出願や新製品のリリースなどの技術成果を高める。またこのネットワークから入手される情報はネットワーク経路ごとに特徴があり、それゆえネットワークが多様であれば入手できる情報も多様なものとなる。また研究開発者の多様なネットワークの形成には職位が関与し、さらに国内だけでなく海外ネットワークへと多様性を高めるには研究開発者の職業キャリアにおける国際移動、とりわけ学会などの海外出張という経験が重要な形成要因の一つとなっている。さらに、学会への参加は社会人となってからだけでなく、大学院時代での経験もネットワーク形成に寄与していることが確認できた。
ⅳ)について、学習指導要領が変更された年で年代を分け、高校時代における理数系科目の学習状況の変化と、技術者になってからの特許出願数と特許更新数の関係を分析した結果、中学時代の3年間ゆとり教育を受けた47歳以下の世代と、それより上の世代では、特許出願数と特許更新数に大きな違いがあり、特に、中学時代の数学と理科の時間数が、技術者の高校時代における数学や物理を得意とする度合いと相関していることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2016年度中に、ネットワーク構造を中心とする分析枠組みに移転される情報の質を取り込む分析モデルの構築と、それに基づく具体的な検証仮説の抽出する予定であったが、初年度から利用可能な新しいデータの整理を行い、当初の計画になかった技術者と人的資本蓄積と創造的活動との関係における中等教育の影響を検討することを行ったためである。
この結果、当初の進捗からやや遅れることとなったが、中等教育とネットワークの構築の関係を検討することも重要であることが示唆され、検証仮説に広がりが得られた。

今後の研究の推進方策

本年度は、ネットワーク構造を中心とする分析枠組みに移転される情報の質を取り込む分析モデルの構築と、それに基づく具体的な検証仮説の抽出を行い、抽出した仮説検証のための研究開発者に対するアンケート調査を実施する予定である。さらに収集データを利用して仮説を検証し、そして他研究者、実務担当者からコメント・批判を受けるための成果報告を行い、予定通りに研究を推進していく。

次年度使用額が生じた理由

検証仮説の設定のために、現場の研究開発者にインタビューなどを行う予定であったが、研究を拡張するための分析を行い、当該作業を2017年度に繰り越したためである。

次年度使用額の使用計画

インタビュー調査および研究拡張に伴うアンケート調査拡大に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 学習指導要領の変遷と失われた日本の研究開発力2017

    • 著者名/発表者名
      西村和雄、宮本大、八木匡
    • 雑誌名

      経済産業研究所ディスカッション・ペーパー

      巻: 17-J-015 ページ: -

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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