研究課題/領域番号 |
16K03913
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
高梨 千賀子 立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 准教授 (00512526)
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研究分担者 |
小田 哲明 立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 准教授 (80533463)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | FAシステムメーカー / 特許 / 提携買収 / アーキテクチャ / 標準化 / 企業の境界線 / プラットフォーム / エコシステム |
研究実績の概要 |
IICやIndustrie4.0などのIoTという新技術潮流が、デジタル化、グローバル化、標準化を加速させ、我が国の製造業の従来の強みが弱みに転じる可能性があるのではないか、この新潮流の元では、企業はどのように企業の境界線を引き直すのか、という問題意識のもと、本研究では、2つの研究目的を設定した。一つは実践面での目的で、特許・標準化、提携や組織編制等の点から、技術戦略の方向性を見出すことである。もう一つは理論面での目的であり、新たな技術潮流に際して企業が何を自社で行い何を他社に任せるかという「企業の境界線」の選択メカニズムを説明する諸理論の検討である。対象は、製造業に対し各種製造機器・システムを提供しているFA業界である。 この目標に向かって、本研究では、特許情報、標準化動向に基づくアーキテクチャマップの作成、マップに基づく仮説導出と検証(インタビュー調査)、理論的考察を1セットとし、3ヵ年の年度ごとに対象を変えて3セット行うことにした。初年度の対象は日・独・米のFAシステムメーカーである。 まず、特許調査においてはG05B19/418(総合的工場管理)を対象とし、日・独・米における特許取得数(筆頭のみ)を1990年~2016年間の推移として把握した。対象としたシステムメーカーは、シーメンス、ロックウェル、シュナイダー、三菱電機である(そのほか、デバイスメーカーのオムロン、ボッシュ、さらに、B2Bビジネスに大きく舵を取っているIT企業としてマイクロソフト、グーグル、SAPについても調査した)。さらに、システムメーカー4社のG05B19/418における特許を、HW/SWのシステム構成やIFに着目して内容を精査する一方、買収、提携、組織再編等についても調査を進めた。現段階でまだ調査続行中だが、プラットフォーム/エコシステム形成に関する仮説を導出する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
特許調査の件数把握を行い技術傾向を把握したが、特許の特徴を拾い出すため、主だった特許について内容の把握を行っている。この作業が想定より時間がかかっている状況である。また、想定していたアルバイトの雇用人数が確保できなかったことも作業に影響を与えた。
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今後の研究の推進方策 |
1.アルバイト生の人数確保に尽力する(対象を他分野などにも広げるなど) 2.作業の配分を変える:特許調査は期間を通して(長期)実施する。その一方で、インタビューは適宜、実施する。つまり、文献調査⇒仮説導出⇒検証といったシーケンシャルなプロセスではなく、ある程度の仮説を持って検証し、その結果を仮説に反映させるといったスタイルをとっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
差額が生じた理由は、主に3点ある。1.旅費:アメリカ調査を行わなかった事、2.人件費:アルバイト生の不足により、当初の予算消化が進まなかった事、3.その他:デビデンス入手および検証のために購入した特許に関する調査レポート支払発生、である。
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次年度使用額の使用計画 |
2年度目においては、特許調査にもある一定の進展が見られているため、アメリカ調査を実施するほか、ドイツ調査も引き続き行う。また、FAシステムメーカー・デバイスメーカーともに国内調査も同様に進めていく計画であり、これら国内外調査により、旅費の支出は前年分の繰越を消化する計画。 人件費においては、当初計画したアルバイト生の確保に尽力する。
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