研究課題/領域番号 |
16K03915
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
横山 恵子 関西大学, 商学部, 教授 (00349325)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | エシカル・アントレプレナーシップ / BOPビジネスモデル / コーポレート・ソーシャル・アントレプレナーシップ / 正当性の獲得 |
研究実績の概要 |
BOPビジネスモデルを明らかにするために、BOP住民が生産者になるフェアトレードなどの多数のケース分析を完了させ、BOPサイトでのマネジメントと、完成品の市場におけるマネジメントの双方の観点から、ビジネスモデルの要諦を整理した。 ソーシャル・アントレプレナーシップの概念の検討としては、アントレプレナーの社会性に対するアプローチの仕方を大別して、先行研究に基づき、攻めのエシカルと守りのエシカルという概念規定を行い、双方を意識して、バランス良くとり進めていくための概念として、エシカル・アントレプレナーシップという概念を提示した。また上記の成果を併せて、一般書にまとめて公開した。 さらに、大企業におけるBOPビジネスモデル創造について、詳細なケース分析を実施して、そのプロセスをコーポレート・ソーシャル・アントレプレナーシップという概念および正当性の獲得という視点から検討した。コーポレート・ソーシャル・アントレプレナーシップを発揮させるための土壌づくりの要件として、CSVを明示して体現する組織文化、組織の寛容性を抽出した。正当性の獲得視点からは、大企業におけるBOPの現状と、なぜその現状が生じているかの理由を考察することができた。 中小企業のBOPビジネスに関しては、日本企業の事例分析を進めて、来年度公刊する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究成果を一般書の形でまとめあげ、公刊することができた。 またその他の成果についても、査読論文に採択されている(公刊は2020年度予定)。 調査等も順調に進んでおり、プロセスおよび成果ともに順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
BOPビジネスモデル、CSV、ソーシャル・アントレプレナーシップといった、本研究の鍵概念については、ある程度まとめることができたため、本年度は多角的な視点から分析を拡大していく。一つは大企業と中小企業のBOPビジネスの比較分析であり、もう一つはビジネスモデル創生の違いによるBOPビジネスの比較分析である。 さらに、BOPビジネス展開中に大胆なドメイン変革を行った事例分析も実施して、ダイナミックかつダイバーシティーな視点に基づき、BOPビジネスモデルとソーシャル・アントレプレナーシップに関する研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定していた出張がキャンセルになったことから、若干の差額が生じた。 差額分を含めた使用計画だが、事例研究および学会発表のための出張経費として計上する。ソーシャル・アントレプレナーがドメイン変革をした事例研究を中心に、調査途中の事例研究をまとめ上げ、理論研究と統括する。これらの研究成果は、国内および海外の学会で発表予定である。
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