本研究の主要な目的は、日本における喫緊の課題であるグローバルな人材の育成やグローバルな視点でのキャリア開発の発展に寄与するべく、国際機関で働くプロフェッショナルの人材育成システムを解明し、キャリア形成の実態を解明することである。日本におけるキャリア形成や技能習得プロセスに関する研究は日本人に限定されている中、本研究の希少性・社会的意義は、外国人から見た日本人のグローバル性の評価といったグローバルな視点を反映させるものである。最終年度の2019年は、特に以下の作業を重点的に行った。 A.国際機関の人材育成システムについて、現場の専門家らとの意見交換や入手した情報の分析と論点整理; B.外国人国際公務員に対してのヒアリング調査結果の分析とフォローアップの調査; C.上記AとBの成果を取りまとめ、企業や教育関係者らと会合を実施し、意見交換を行った; D.今まで行ってきた調査結果を、広く外国人と共有し、意見交換することが本研究において不可欠である。今年度後半に、多文化が共存しグローバルなキャリアを志望する若者が多いシンガポールの国立大学(NUS)において、キャリアセンター長や教職員らとの意見交換会の開催を予定していたが、コロナ感染症の拡大により、会合がキャンセルとなったことは誠に残念である。状況が好転次第、意見交換会を開催したいと考えている; E.特に国際公務員のキャリア形成としての特徴として調査結果より浮かび上がった次の項目、a)企業横断的なキャリア開発の仕組み、 b) 明確なコンピテンシーに基づくキャリア形成、c)キャリアトランジションに重要な役割を果たすメンターの存在;e)原動力とワークライフバランス、についてをケーススタディとして教材の作成、論文執筆(日英)、HPなどに成果を公開した。
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