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2018 年度 実績報告書

資本市場中心の金融システムにおける米国大手銀行グループの引受業務への進出

研究課題

研究課題/領域番号 16K03920
研究機関松山大学

研究代表者

掛下 達郎  松山大学, 経済学部, 教授 (00264010)

研究分担者 宿輪 純一  帝京大学, 経済学部, 教授 (50767217)
蓮井 康平  松山大学, 経済学部, 准教授 (90780619)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード資本市場 / 金融システム / 大手銀行グループ / 引受業務 / 投資銀行
研究実績の概要

研究の全体構想は、アメリカ大手銀行グループの引受業務への進出過程を、ニューヨーク大手金融機関等へのヒアリング調査とデータ分析を嚆矢とし明らかにすることであった。最終的には、1980年代以降の大手銀行グループのオフバランスシート取引による業務展開の全体像を把握した。
具体的には、①銀行の証券業務元年(1996年)から、3大商業銀行グループが、まず証券子会社の設立によって、社債、すなわちハイ・イールド債と伝統的な投資適格債の引受業務に参入した。銀行が社債の引受業務に参入できた背景には、社債は銀行貸付と代替性があるからであった。
②次に組成分配型モデルに関係するABSs(アセットバック証券)やMBSs(モーゲイジ担保証券)等の各種金融商品の引受業務を拡大した。とくに、2000年代に入ると、大手商業銀行グループは、大手投資銀行以上に社債とABSs/MBSsの引受業務をおこなうようになった。この背景には、大手行がオリジネートした貸付を、大手銀行グループ傘下の特別目的事業体が証券化し、証券化されたABSs/MBSsを同じくグループ傘下の証券子会社が引き受け、投資家にディストリビュートするようになったからである(組成分配型モデル)。
③大手商業銀行グループの社債とABSs/MBSsの引受業務は、伝統的な新規公開株式発行と既公開会社による公募増資の引受業務への参入と比較すると、その参入時期が早く、2000年代には引受ランキングのトップの一角を占めたという違いがある。
大手商業銀行グループは、引受業務において、銀行貸付と代替性のある社債と、彼らの新規金融商品であるABSs/MBSsにまず参入し、それから投資銀行業務の最もコアにある新規公開株式発行と公募増資の引受業務に進出した。こうして、大手商業銀行グループは、2008年サブプライム危機時に、大手投資銀行の引受シェアを追い越すようになったのである。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (4件)

  • [国際共同研究] 京都学園大学(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      京都学園大学
  • [雑誌論文] 英米大手銀行グループの収益構造は異なるのか? 金融化の内実を探る2018

    • 著者名/発表者名
      掛下達郎
    • 雑誌名

      信用理論研究

      巻: 36 ページ: 69-83

  • [雑誌論文] 特集 決済インフラの高度化で変わる銀行業務2018

    • 著者名/発表者名
      宿輪純一
    • 雑誌名

      銀行実務

      巻: 48(4) ページ: 11-23

  • [学会発表] 資本市場中心の金融システムの形成とその特徴2019

    • 著者名/発表者名
      掛下達郎
    • 学会等名
      証券経済学会第90回全国大会
    • 招待講演
  • [図書] 変貌する金融と証券業2018

    • 著者名/発表者名
      証券経営研究会
    • 総ページ数
      377+xix
    • 出版者
      公益財団法人 日本証券経済研究所
    • ISBN
      978-4-89032-054-7
  • [図書] 決済インフラ入門〔2020年版〕 仮想通貨、ブロックチェーンから新日銀ネット、次なる改革まで2018

    • 著者名/発表者名
      宿輪純一
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      東洋経済新報社
    • ISBN
      978-4492681442
  • [備考] 掛下達郎研究室,福岡大学商学部

    • URL

      https://www.cis.fukuoka-u.ac.jp/~t.kakeshita.dh/index.html

  • [備考] 証券経営研究会編『変貌する金融と証券業』公益財団法人 日本証券経済研究所,2018年

    • URL

      http://www.jsri.or.jp/publish/general/general_27.html

  • [備考] 「イギリス四大銀行グループの収益構造」日本証券経済研究所『証券レビュー』第57巻第5号,2017年

    • URL

      http://www.jsri.or.jp/publish/review/pdf/5705/03.pdf

  • [備考] 「アメリカ大手銀行グループによるOTDモデルの形成」『証券経済学会年報』第51号別冊,2016年

    • URL

      http://www.sess.jp/publish/annual_sv/pdf/sv51/m85_04.pdf

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公開日: 2019-12-27  

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