研究課題/領域番号 |
16K03924
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
植木 靖 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 研究企画部, 海外研究員 (40450522)
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研究分担者 |
辻 正次 神戸国際大学, 経済学部, 教授 (90029918)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マネジメント革新 / 技術革新 / イノベーション / 企業内組織 / ASEAN |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、地場企業がManagerial Innovation(マネジメント革新)を通じて技術革新能力を形成・向上させるメカニズムを実証的に明らかにすることである。すなわち、企業のマネジメント手法が企業内の技術力構築や企業パフォーマンスに影響しているのかを実証的に検証する。 ASEAN地場企業が技術力構築のために活用できる内部リソースは極めて限定されている。従って、地場企業が技術力を獲得・向上するには、内部リソースの効率的な活用と販売先や仕入元が持つ外部リソースとの有機的結合が必要となる。Managerial Innovationは、そのための仕組み作りのための試みとも解釈できる。 本研究の分析対象と成り得るマネジメント手法には、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)といった品質管理手法から、部門横断的な新製品開発チームといった企業内組織、情報通信技術といった設備投資を伴うシステム構築までが含まれる。本研究により、そうした様々なマネジメント手法と外部リソースの活用状況やイノベーション・事業パフォーマンスとの相関・因果関係を明らかにする。その上で、管理面の改善を試みる企業の属性も明らかにしていきたい。 2016年度は、東南アジア企業へのアンケート調査から構築されたデータを用いて、イノベーションを試みている在アセアン企業が持つ特徴(企業内組織、人材管理、品質管理、経営者の属性)に関する分析を回帰分析や質的比較分析(QCA)を用いて試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、Managerial Innovationに関する先行研究の検討、ASEAN 地場企業のManagerial Innovation に関する仮説設定、実証分析では、回帰分析に加えて、小規模サンプルでも因果関係の把握が可能な質的比較分析(QCA: Qualitative Comparative Analysis)などの新しい分析手法を試みる計画である。得られた分析結果を順次国際学会等で発表し、そこでのコメントを基礎に仮説やモデルを改善し、その後質の高い学術雑誌へ投稿する予定である。 2016年度は、仮説設定に資する情報収集のため、企業訪問を行った。同時に、利用な可能なデータを用いて回帰分析を行いつつ、手法習得のため質的比較分析も試みた。このような進捗があった一方で、Managerial Innovationに関する先行研究の検討は、更に時間をかけて行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
企業インタビューを継続して行い、在ASEAN企業の経営課題とそれへの対応策について情報を収集し、より現実感のある仮説設定を試みる。また、先行研究のレビューを集中的に行い、企業インタビューから得られる知見も生かして、アンケート調査票の作成・調査実施可能性も含めた実証戦略を検討していく。利用可能なデータを用いて、分析のトライアルを重ね、学会報告も行いながら分析の質を改善させていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
PCや物品の購入を控え、手持ちのもので代替した。当初計画していた活動のうち、学会参加を通じたManagerial Innovation に関する情報収集を実施しなかった。研究分担者、海外共同研究者との国内、タイでの打ち合わせを、別の面談機会や電子メールで代替した。
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次年度使用額の使用計画 |
学会参加等を増やし、関連研究分野や分析手法の情報収集を行い、タイでのアンケート調査の実施可能性を検討する。
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