2018年度にそれまでの研究成果を書籍化(『マーケティング・リサーチのわな:嫌いだけど買う人たちの研究』有斐閣、2018年12月)したが、本書は日本マーケティング学会が主催し学会員の投票で選ばれる2019年度の「マーケティング本大賞」において準大賞に選ばれた。広くマーケティングにかかわる人たちから、一定の評価をいただいたものと理解している。以下は、学会のホームページに掲載されている講評の抜粋である。
”「定量分析活用の在り方そのものを検討した学術書であり実践書」 マーケティング・リサーチやデータの持つ意味に正面から取り組み、定量分析手法の使われ方の限界と可能性を系統的に検討した示唆に富む良書である。反日感情の高い中国の消費者が日本製品を購入する矛盾を実例に本音と建て前を分析し、定量分析で実態が反映されない可能性と調査の文脈を考えることの重要性が科学的に説かれている。マーケティング・リサーチの意義と危うさが示されており、ビッグデータやAIの積極的な活用が喧伝されデータドリブンのビジネスが主張される中、研究者こそが行える普遍的な貢献となっている。根源的な問いに、柔らかい筆致で答えられており、実務的示唆が大いにある類書のない書物といえる。”
さらに、日本マーケティング学会の学会誌である「マーケティングジャーナル」Vol.39 No.4(2020.03.31)にも、書評として取り上げられた。また、2019年度は最終年度であり、日本マーケティング学会等での口頭発表を通じてその内容を伝えることや、研究の成果を踏まえた実践的なマーケティング活動に寄与する方策を考えるために実務家との交流などにも努めた。
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