研究実績の概要 |
2016年5月に米国とメキシコの自動車産業の調査を実施した。自動車メーカー6社(トヨタ,日産,VW,アウディ,マツダ,ホンダ)の主としてメキシコの工場を取材した。日本メーカーについてはメキシコ工場を取材する前に,日本の本社の当該部門での取材を実施し,事前に前提的知識を確保した後にメキシコ工場を取材した。そのため,深く踏み込んだ情報が得られた。自動車流通システムについてはマツダとホンダ,トヨタで主として米国とメキシコの実態を取材した。当初の見込み通り,米国の流通システムの異質性が鮮明になった。中古車流通における日本,中国,韓国などの相違を明らかにすることができた。 同時に,日系メーカーがそうしたメキシコなどの新興国に進出するためのマーケティング戦略についても解明が進んだ。まとめると,第一に,自動車流通システムの国際比較をおこなうことを通じて,国ごとの相違は何かを明らかにすることに努めた。第二に,各国の自動車流通システムの相違はどこから生じているのか,その歴史的過程を明らかにすることに努めた。第三に,今後,各国に共通した傾向,法則性を明らかにする計画である。第四に,自動車フランチャイズ・システムの問題点とその改革の方向を明らかにするための方法を検討した。 当初の計画にはなかったが,自動車の生産-流通-解体-リサイクルの観点から,太平洋島嶼国における自動車放置問題が喫緊の重要課題であることが判明し,別の予算であるが,フィジー,トンガ,サモアでの放置車両の調査をおこなった。
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