研究課題/領域番号 |
16K03931
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
三古 展弘 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (00403220)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 消費者行動 / 交通行動 / 需要予測 / 繰り返し断面データ / 非集計モデル / サンプル数 / 調査頻度 / モデルの更新 |
研究実績の概要 |
非集計需要予測モデルを,断面データを用いて構築する場合,複数時点からデータが得られていても直近の1時点のデータのみを用いることが多く,貴重な過去のデータを無駄にしていた.本研究では,複数時点のデータを用いることで各回の調査規模の削減可能性を検討した.昨年度は,2時点のデータを用いる場合と1時点のデータを用いる場合を比較したが,今年度はこれに3時点のデータを用いる場合を比較の対象に含めた.複数時点のデータを用いるモデルでは,筆者の提案した,パラメータを1人当たりGDPの関数で表現した. 使用データは中京都市圏のパーソントリップ調査データ(1971,1981,1991,2001年)であり,出勤時の交通手段選択行動を分析対象とした. 結果の一例として,1時点の91年,2時点の71/91年,3時点の71/81/91年のデータを用いて01年の行動を予測した場合を紹介する.ブートストラップ法を用いた結果,1時点の10000サンプルよりも3時点の各2500(合計7500)サンプルを用いるほうが,有意に予測精度が良かった.2時点の各10000(合計20000)サンプルよりも3時点の各8000(合計24000)サンプルを用いるほうが,有意に予測精度が良かった. また,古い時点のデータで構築したモデルを新しい時点の少数のデータで更新するTransfer scalingについて,いかなる場合に新しい時点の少数のデータのみを用いる方法よりも良い予測をもたらすかを検討した.その結果,Transfer scalingのほうが有意に良い予測をもたらすことはなかった.しかし,新しい時点のサンプル数が極めて小さいとき,統計的に有意ではないものの定数項の修正のほうが良い予測をもたらし,その予測値のばらつきが小さく,また推定と予測の計算に問題が少ないことが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の実施状況報告書に記載したとおり,1時点のデータを用いる場合,2時点のデータを用いる場合,3時点のデータを用いる場合を比較し,3時点のデータを用いた場合における各回のサンプル数の削減可能性を検討した.
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今後の研究の推進方策 |
調査費用の削減に関する分析に取り組むとともに,昨年度までの分析結果を査読雑誌に投稿し,査読意見に基づいて論文を改善するとともに出版する.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は英文雑誌への投稿を行わず,英文校閲費が発生しなかった.今年度は英文雑誌への投稿を考えているので,英文校閲費に充てる予定である.
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