研究課題/領域番号 |
16K03938
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研究機関 | 千葉商科大学 |
研究代表者 |
朴 宰佑 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (50401675)
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研究分担者 |
外川 拓 千葉商科大学, 商経学部, 准教授 (10636848)
石井 裕明 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (50548716)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 審美性 / デザイン / 製品評価 / 製品差別化 / 消費者行動研究 |
研究実績の概要 |
本研究では、デザインによる製品差別化を図る上で中核となる「審美性」概念に注目し、審美性が製品評価にいかなる影響を与えるかを検討している。 2016年度は、大きく2つの方向性から研究を行った。ひとつは、審美性をもたらす構成要素と原理および審美性知覚が製品評価に与える影響についての文献サーベイである。もうひとつは、視覚的な審美性が製品評価に与える影響に関する消費者実験の実施であった。 文献サーベイでは、審美性やその製品評価への影響について認知心理学や知覚心理学、消費者行動研究など学問横断的に関連文献を精読し、審美性知覚にかかわる構成要素を製品属性要因と非製品属性要因の観点から整理した。 また、こうした理論的検討をもとに、審美性知覚が消費者の製品評価に与える影響に関するオンライン調査を実施した。具体的には、非製品属性要因としての被写体の角度や配置に注目し、広告等における人物モデルや製品の提示角度が審美性知覚および製品評価に与える影響を検証した。その結果、画像に写るモデルや製品の提示角度や配置によって審美性知覚が異なること、またそうした知覚の相違が製品評価に有意な影響を与えることが確認された。こうした研究成果の一部は既に国内学会で報告しており、国際学会でも報告を行う予定となっている。また、これらの研究についてはオックスフォード大学のCharles Spence教授と連携を図っており、論文の共同執筆も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部の予定変更はあったものの、全体的にはおおむね順調に進展している。2016年度に予定していた審美性知覚と製品評価に関する文献レビューは着実に進展しており、審美性知覚をもたらす要素の整理も一定水準において達成できた。 一方、当初予定していた消費者および実務家に対する定性調査を消費者向けの定量調査へと変更した。こうした予定変更はあったものの、当初の予定よりも早く研究知見を獲得し、その成果を学会を通して社会に発信することができた。 以上のことを総合的に考慮すると、一部の計画変更はあったものの、研究はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、2016年度に得られた研究知見をさらに深めると同時にその応用を図っていく予定である。 具体的には、まず、2016年度に行った文献サーベイおよび消費者調査の結果を踏まえながら、審美性知覚に関連する製品属性要因および非製品属性要因が消費者の製品評価に与える影響に関するより精緻な検証を進める。検証では、セルフレポート方式の消費者調査のみならず、アイトラッキングや反応時間分析など、消費者反応をより客観的に測定する分析手法も同時に用いて、製品属性および非製品属性が審美性知覚および製品評価に与える影響とその影響メカニズムを多面的に検証する。これに加え、実務家への定性調査等を実施することによって、研究知見の外的妥当性を検討すると同時に実務への応用可能性の向上を図っていく。また、こうした一連の研究についても海外研究者と連携を図ることで、研究精度を高めながら、研究成果の国際的な発信力も強化して行きたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、当初は消費者および実務家に対する定性調査を予定していたが、計画を変更しオンラインによる定量調査を実施したことで、旅費、謝金の支出がなかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、国際共同研究機関や海外学会への研究出張、消費者や実務家の調査に伴う人件費や謝金に使用する予定である。
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