研究課題/領域番号 |
16K03939
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鈴木 秀男 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (10282328)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 保守サービス性 / 社会的品質 / 品質要素 / 顧客満足度 / ロイヤルティ |
研究実績の概要 |
保守サービス性に関する研究については、昨年度から継続で、2つの製品(自動車およびエアコン)を対象にして、顧客の立場から、製品の保守サービス性の評価,アフターサービスコストおよび顧客満足/ロイヤルティへの影響を検証した。保守サービス性の要素(有形性,確実性,反応性)およびアフターサービスコストの要素を抽出した。2つの製品において、要素間の関係性の仮説モデルが検証され、支持された。特に,アフターサービスコストは、保守サービス性と顧客満足/ロイヤルティの関係性に対して,媒介変数として機能することが示された。これらの成果について、査読付き国際論文誌に掲載された。その他、自動車を対象に、顧客の立場から、保守サービス性を含むGarvin(1987)の品質要素が所有コスト、顧客満足および顧客ロイヤルティに及ぼす影響を検証した。その結果、保守サービス性の評価の向上が所有コストの減少に寄与し、さらに、所有者コストの減少が顧客ロイヤルティの向上に重要な役割を果たすことが示された。これらの成果が、国内の査読付き論文誌への掲載が決定している。 社会的品質については、昨年度から継続で、自動車を対象に、顧客の立場から、Garvinの8つの品質要素に加えて、社会的品質を第9の品質要素として考慮し、品質要素の枠組みを提案し、顧客満足および顧客ロイヤルティに及ぼす影響を検証した。その結果、全体として、社会的品質は顧客満足度に対して負の影響を与えていることが示された。一方、ハイブリッド車の所有者は社会的品質が顧客満足度に正の影響を持っている可能性が示唆された。これらの成果を国際会議にて発表した。その他、e-serviceを対象にしたサービス品質要素の枠組みを示し、社会的品質要素との関連性も検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
保守サービス性に関する研究については、自動車やエアコンを対象に保守サービス性に関する調査を実施し、顧客の立場から、保守サ ービス性に関する要素の枠組みを構築し、保守サービス性、購入後コスト、顧客満足度、ロイヤルティの関係性を検証した。これらの成果について、国内外の査読付き論文誌への掲載が決定し、順調に進展していると判断している。 社会的品質については、自動車やe-serviceを事例にして、社会的品質を含めた品質要素の枠組みを提案し、調査データを用いて、品質要素と顧客満足度の関係性、特に社会的品質の認識の顧客満足度に対する影響を検証している。これらの成果を国際会議で発表しており、こちらも順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
社会的品質に関する要素や影響分析を重点的に行う。自動車の事例において、さらに、エコカー所有者における社会的品質の顧客満足度に対する影響を検証する。また、継続して、サービス分野における社会的品質の顧客満足度に対する影響を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に、追加調査を行いたいために、残額を次年度分と合わせることにした。
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