平成30年度は、主に、e-serviceの品質評価モデルの構築とユーザーの社会的責任行動の関係についての研究を行った。Amazonを事例として、e-service品質評価モデルについて、Interface、Technical、Process、Product、Refundを主な品質要素とする3次因子モデルを構築した。次に、e-service品質が顧客満足度/ロイヤルティに及ぼす影響、Amazonサイトにおけるnon-self-managingビジネスでの悪い経験(C2C経験)が口コミとブランドイメージに及ぼす影響について検証した。分析の結果、C2C経験はブランドイメージに負の影響を与え、一方、C2C経験から口コミ、口コミからブランドイメージへの影響は正となった。さらに、ユーザーの社会的責任行動への関係性について、総合的なe-serviceの品質が社会的責任行動に影響を与えていることを確認した。 全期間の研究により、保守サービス性については、2つの製品(自動車およびエアコン)を対象にして、顧客の立場から、製品の保守サービス性の評価,アフターサービスコストおよび顧客満足度/ロイヤルティへの影響を検証した。また、自動車を対象に、保守サービス性を含むGarvin(1987)の品質要素が所有コスト、顧客満足度/ロイヤルティに及ぼす影響を検証した。これらの結果、要素間の関係性の仮説モデルが検証され、支持された。社会的品質(SQ)については、自動車を対象に、顧客の立場から、Garvinの8つの品質要素に加えて、SQを第9の品質要素として考慮し、品質要素の枠組みを提案し、顧客満足度/ロイヤルティに及ぼす影響を検証した。その結果、全体として、SQは顧客満足度に対して負の影響を与えていることが示された。一方、ハイブリッド車の所有者はSQが顧客満足度に正の影響を持っている可能性が示唆された。
|