平成30年度は、3年間の研究期間の最終年度にあたることから、まず平成28年度において訪問した事業承継支援センターにおける取り組みの進捗度合いについて、再度聞き取り調査を行い、事業承継が進んでいるケース、進んでいないケースに関して、より掘り下げて考察を行った。また本研究が小売業とサービス業を主に対象としていることから、実際に事業承継を行ったそれらの業種の企業や事業者への聞き取り調査を行った。 また、事業継続を断念し、廃業するケースが多いことから、規模の異なる企業や事業者への聞き取り調査を行い、特に規模が小さくなればなるほど、親族に後継者が不在の場合、廃業するケースが目立つこと、特にサービス業においてそのノウハウの伝達が難しい事業に関しては、廃業が目立つことを明確にした。これら小規模事業者の廃業は、社会的には大きな問題とはならないが、地域においては深刻な影響を与えている面も明らかにした。 さらにできる限り事業を継続させることが、当該企業や事業者のためだけではなく、所在する地域にもさまざまな面で貢献する。そこで毎年新しい施策が国だけではなく、各自治体や経済団体を中心に行われているが、即効性がなく、これらの施策には重複が多いことなども現場での聞き取り調査などからわかった。また、製造業や建設業などは、いわゆる事業承継政策は受け入れ、利用可能性が高いものとなっているが、小売業やサービス業においては、使いにくい制度となっていうことも判明した。この面では相変わらず、わが国が製造業に政策支援を傾注しており、いわゆる第3次産業が国の経済の大部分を占めるようになった現在も、若干軽視されている面がされている面があることが現場からも声が上がった。そのため、これら業種の事業承継が進捗しない面があることも示唆された。
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