従来の視点である取引から関係へのシフトはマーケティングの領域においては一つの研究課題となっている。サービス・ドミナント・ロジックは取引の対象である商品ではなく、関係者間のサービスの交換に焦点を当てることによって、ズーミングアウトを可能としている。本研究では、サービス・ドミナント・ロジックにおけるサービス概念を用い、これらが複数のアクターで交換されているサービス・エコシステムとしての地域とそのマーケティングについて検討している。 サービス・エコシステムでは、アクターのサービス交換と資源統合および制度・制度配列が重要となってくる。制度とサービス交換の関係が重視されることになる。サービス交換を促進したり、あるいはサービス交換を阻害したりする制度を明らかにすることによって、サービス・エコシステムの活性化が図られることになる。 本研究では、地域におけるサービス・エコシステムに関連する制度に焦点を当て、その有効性について考察を行っている。地域マーケティングでは地域ブランドの視点から議論されることが多いが、従来の地域マーケティングの研究ではこのようなマクロ的な視点からのアプローチがほとんど無いため、制度およびエコシステムと地域マーケティングの関係に関して、一定の有効性があると考えられる。特に相互が複雑に関連する地域は、エコシステムとしての特性を備えているため、それぞれのアクターが最適化できるような制度を設ける必要があると考えられる。
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