平成30年度は、独立系石油販売業界の調査・研究を業態開発の視点から行った。 1998年のセルフ解禁以来、急増してきた独立系であったが、平成30年度は精製・元売の再編によって流通玉が急速に絞り込まれ、流通玉が半系列的玉扱いになったこと、さらに平成31年4月の最終的な元売再編が決定し、研究を開始した時点から独立系を取り巻く環境が大きく変化した。このことから、仕入価格差を原資にした系列との低価格販売を強みにした販売戦略は軌道修正を迫られた。 平成30年度は、従来からの業態開発に競争優位をもとめる動きが加速し、燃料依存から車関係など新たなプロフィットセンターを模索する動きを強めた。このことから米国において発達したコ・ブランドの調査を独立系業者と協働でおこなった。中心としたのはテキサス州ダラスにおけるQuikTrip社の新業態店舗展開調査と、サービスステーション型大型店舗開発のBuccee's社の旗艦店舗をサンアントニオ郊外にて調査したほか、ヒューストンに展開する新型の連続式洗車システムも業態開発の視点から大きなインパクトがあった。これらの業態をそのまま我が国に導入することは困難であるが、新しいビジネスモデルへの模索の必要性を検証できた。 さらに欧州で環境対策から化石燃料がCO2削減のために見直され、電気自動車へのシフトが本格化すると思われたことから、需要減少が独立系に与える影響の基礎資料の作成を行った。試算結果は需要減少のインパクトが系列、独立系を問わず極めて大きいことを確認しただけでなく、新業態開発、ビジネスモデル開発から燃料油販売をキャシュフローの源泉とした上で、業態開発を行うことの必要性がほぼ共通認識として形成されている状況を確認した。また人手不足の解消、次世代のエネルギー流通への過渡期の対策として無人化などが検討されこれが流通チャネル転換につながる状況を検証、考察した。
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