研究課題/領域番号 |
16K03948
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
嶋 正 日本大学, 商学部, 教授 (30187421)
|
研究分担者 |
高井 透 日本大学, 商学部, 教授 (60255247)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | グローバル / 持続的競争優位性 / イノベーション / 事業の仕組み / 海外進出 / ボーンアゲイン / マーケティング / 戦略 |
研究実績の概要 |
近年、情報技術のさらなる発展、グローバルレベルでの競争・市場環境の変化などを受けて、従来唱えられてきたボーングローバル企業と伝統型企業との間の相違に対して、疑問が投げかけられるようになっている。例えばボーングローバル企業と他の企業では、経営戦略においてそれほど大きな違いはないというファインディングスも提示されている。とくに、ボーングローバル企業と他の企業では、マーケティングにおいて大きな違いがあると言われてきたが、このマーケティングにおいてもさほど違いはないという調査結果もある(Wong et al, 2012)。 日本でもかつてはボーングローバル企業と他の企業では、かなり競争・市場戦略などの点において異なっていた(髙井.2007)。しかし、数年前に実施した我々の調査からは、競争・市場戦略などの点において、大きな違いを見出せなくなってきている(髙井・神田2015)。また、今までの比較研究はこの領域の研究傾向を受けて、競争・市場環境がダイナミックに変化するハイテク関係分野の研究に偏っている感があり、ローテク関係などのボーングローバル企業を対象としたものは少なかった。そのため、ローテク関係のボーングローバル企業の戦略行動自体が十分に解明されてきているとは言い難い状況である。このような状況を考慮すると、ボーングローバル企業と伝統型企業のグローバル化行動を比較し、その共通性と相違性を再検討することが求められているように思われる。 本年度は、こうした問題意識に基づいて、ローテク型のボーングローバル企業と伝統型企業とが比較研究を行った。具体的には技術志向型のボーングローバル企業と、国内での経営基盤を確立してから、海外へ進出する伝統型のベンチャー企業の事例を分析の対象としている。両企業とも、技術開発型のベンチャー企業である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、比較事例分析の方法を利用することで、ハイテクとローテク企業の戦略行動を多角的な視点から比較分析し、それぞれの企業の戦略行動の違いと共通点を明らかにすることができた。そのため、今年度には実施する予定であるアンケート調査の分析枠組みを構築する調査変数を抽出することはできた。ただし、今年度の前半は、さらに調査の分析を枠組みを精緻化するために、さらなる事例研究を積み重ねる予定である。調査対象としている企業とは、すでに調査の協力の確約を得ているので、調査は順調に進んでいくと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
大量サンプルによるアンケート調査を実施することが、本研究成果の大きなポイントである。ここ2年間で事例研究をかなり積み上げてきてはいるが、まだ、業種に偏りがあることから、本年度はさらに多様な業種のボーングローバルカンパニーの戦略行動を調査する予定である。また、今年度は業種の違いによる戦略行動の違いと、創業者がどのような経緯で創業したのか、つまり、スビンアウト型か、それとも自らが創業したのかによって、海外市場のとらえ方や、進出方法も違うのかなども含めて、より多角的な視点から分析を加えていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
「理由」 今年度は事例研究をベースに研究を進めた。しかし、当初、予定していた地域ではなく、割と近郊のボーングローバル企業を調査したために、交通費が予想したほどの金額が発生しなかった。また、調査のテープ起こしも、低価格で高品質な業者と契約することができたため、予定していた金額よりもかなり下回ることができたため。 「使用計画」 本年度は、関西、九州などのボーングローバル企業も調査の対象となっているため、かなり交通費などで料金がかかることになる。そのため、持ち越した金額を不足分として補うことになる。
|