研究課題/領域番号 |
16K03948
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
嶋 正 日本大学, 商学部, 特任教授 (30187421)
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研究分担者 |
高井 透 日本大学, 商学部, 教授 (60255247)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ボーングローバル / 日本型 / グローバル / 戦略 / 市場戦略 / イノベーション / 組織 / マーケティング |
研究実績の概要 |
今年度は最終年度に当たるため、事例調査およびアンケート分析から得られた知見をまとめることになる。紙幅の関係もあるので、経営戦略を中心に分析を報告する。海外進出に時間を要する伝統型企業およびボーングローバル企業(以下BGC)も、ニッチ市場で差別化するということについては共通しているが、より伝統型の方がニッチ市場をより強化する志向を有している。実際、提携関係でもBGC方が、主力事業以外での提携を積極的に重視している。 提携以外でもBGC方が、むしろ積極的に既存の強みを多様な分野に応用することで成長を志向している。その一つの要因が、アンケート調査と事例研究からの示唆では、BGCは、伝統型の海外進出企業よりも卓越した技術というよりは、よりマーケティングでの差別化のスキルが高い。例えば、T社の戦略の特徴は、BGFでありながらドローン事業などの多角化に乗り出していることである。しかも、単にドローン事業のブームに乗ってビジネスを展開したわけではなく、ターゲットを明確に絞り込んで土木分野のドローン市場に参入している。このような短期間に新分野に進出することは、BGFとしてはめずらしいが、トップの狙いが最初から日本発のメガベンチャーを目指すという大きな戦略的な目標があったからである。また、LANの製造メーカーとして創業したA社は、技術力の高い国で開発し、コスト競争力のある国で生産し、市場の大きい国で販売するというビジネスモデルをベースに日米で同時に市場参入を実現している。ファブレス戦略をベースにしながら、一部、製造を内製化するという、当時のベンチャー企業の常識を覆す戦略を展開することで、今やネットワーク管理の総合企業としてのポジションを獲得している。 しかし、事業の多角化に積極的に展開するのは、やはりBGFの中でも創業当初からの企業の到達点を明確にしている企業が多い。
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