研究課題/領域番号 |
16K03951
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
西川 英彦 法政大学, 経営学部, 教授 (10411208)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ユーザー・イノベーション / 単独創造 / 共同創造 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ユーザー・イノベーションにおける単独創造アイデアと共同創造アイデアがもたらす価値について、企業・ユーザーとの実験を通して理論的・実証的に考察することにある。 2年目となる本年度は、次年度の実験室実験に向けて、単独・共同創造の実態を理解するために、単独・共同創造の定性調査を中心に実施する。具体的には、(1)定性調査の方法論の検討、(2)定性調査の実施、(3)研究会での考察・報告という3点を実施した。 (1)定性調査の方法論の検討については、共同創造アイデアを目指す「共創志向」がイノベーションの成果に正の影響を与えるという前年度の実証研究の論文発表(大久保・西川2017)での結果や考察に加え、前年度に探索してきた先行研究をもとに、調査方法の検討を行ってきた。さらに、研究協力者の支援を受けつつ、調査対象の検討や交渉も実施してきた。 (2)単独・共同創造の定性調査については、(1)の調査の方法論に基づいて、ユーザー・イノベーションを利用する企業や、ユーザーへのインタビュー調査を通して、単独創造および共同創造の実態や、その価値について考察してきた。同時に、定性調査先が実験段階では協力企業となる可能性があるため、次年度に先駆け実験室実験の方法論についても、先行研究やプレ実験での結果を説明しつつ、複数の企業担当者と議論や検討を実施してきた。 (3)研究会での考察・報告については、ユーザー・イノベーション研究会での報告や議論を実施するとともに、最新研究の情報収集を通して、定性調査のデータの考察に役立ててきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で説明したように、当初の計画どおりの(1)定性調査の方法論の検討、(2)定性調査の実施、(3)研究会での考察・報告という3点の推進に加えて、本研究課題の発見物の1つとなる、前年度の共同創造アイデアを目指す「共創志向」がイノベーションの成果に正の影響を与えるという実証研究の論文発表(大久保・西川2017)ができているためである。
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今後の研究の推進方策 |
3年目は、単独・共同創造の実験室実験を中心に研究を進める。具体的には、(1)実験の方法論の検討、(2)実験の実施、(3)実験データの分析、(4)研究会での考察・報告という4点となる。 (1)実験の方法論の検討については、協力研究者や協力者を交えて、実験室実験の実験計画の打合せを実施する。なお、ユーザー・イノベーションだけでなく、専門家イノベーションを含めての実験も当初計画していたが、プレ実験の分析や検討の結果、実験方法の複雑さや、アイデア評価者の負荷が大きく、正しい結果が得られない可能性があり、本研究課題のメインテーマとなるユーザー・イノベーションの単独・共同創造のアイデアに限定することとした。 (2)実験の実施については、本年度までの検討の結果、現時点では、特定カテゴリー(あるいは協力企業のブランド)を設定した上で、被験者として募集されたユーザーからの単独・共同創造のアイデアを、協力企業の開発担当者2名が評価を行うという実験室実験を想定している。なお、(1)の実験の方法論の検討で変更の可能性もありうる。 (3)実験の分析については、協力研究者と共に分析し、その分析結果を協力企業に報告すると同時に、協力企業からのフィードバックを得て、分析結果の検証を行い、その解釈に反映させる。 (4)研究会での考察・報告については、ユーザー・イノベーション研究会や、The 16th Annual International Open and User Innovation Conference(ニューヨーク大学)での報告、研究会を実施する共に、最新研究の情報収集を通して、実験結果の考察に役立てる。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)国内外の研究者との研究打ち合わせの一部が、次年度にずれたため。 (使用計画)次年度に、国内外の研究者との研究打ち合わせを実施する。
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