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2019 年度 実績報告書

新産業都市における商店街の変遷:企業社会の影響に関する理論的・実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K03954
研究機関立正大学

研究代表者

畢 滔滔  立正大学, 経営学部, 教授 (70331585)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード新産業都市 / 企業城下町 / 企業社会 / 商店街 / 起業
研究実績の概要

本研究の目的は、日本の新産業都市(集中的な公共投資によって開発された地方工業拠点都市)における商店街の変遷を明らかにした上で、商店街の発展に対して企業社会が与える影響を検討した。本研究では企業社会を、渡辺(2004)に基づき、企業の支配が企業内のみならず、労働者とその家族の政治的・市民的活動、さらにその子供の教育にまで及ぶ社会と定義する。本研究の結果は3点にまとめられる。
第1に、企業誘致に成功した新産業都市においても、市街地商店街は衰退しており、店主の高齢化と後継者不足の問題が深刻化している。
第2に、新産業都市の市街地商店街と、米国のかつての企業城下町の商店街と比較研究した結果、両者の現状が大きく異なることが明らかになった。米国の企業城下町は、主要企業が撤退した後の現状としては、3つのタイプがみられる。①人口が流出し続け、町が消滅してしまった。②不動産価格の低下により、リタイヤした高齢者が町に流入し、商店街の主要な顧客となった。③低廉な不動産価格および優れた自然環境により、若い人々が町に流入して起業した結果、商店街の集客力が高まり、コミュニティの中心となった。米国の企業城下町と比べると、日本の新産業都市は、①町が消滅するまでに人口が減少した都市がない一方、③数多くの若者の移住と起業で商店街が再生されたケースも見られなかった。
第3に、新産業都市において、上述したパターン③のような商店街再生がみられなかった原因は、企業社会とかかわると考えられる。渡辺(2004)が指摘するように、企業社会の下、大企業の従業員とその家族こそが安定的な幸福を享受しうる、という社会通念が形成された。また、企業社会の下、起業して失敗する人のためのセーフティネットが整備されていない。これらは起業家の輩出が困難なものにしている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 米国における有機農産物の生産と流通の発展:カウンターカルチャーの人々が起こした破壊的イノベーション2019

    • 著者名/発表者名
      畢滔滔
    • 雑誌名

      一橋ビジネスレビュー

      巻: 67(3) ページ: 42-52

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 米国における有機食品生協の発展:ピープルフードコープに関する事例研究2019

    • 著者名/発表者名
      畢滔滔
    • 雑誌名

      日本マーケティング学会コンファレンス・プロシーディングス

      巻: 8 ページ: 267-274

    • 査読あり
  • [雑誌論文] オレゴン州のファーマーズマーケット:ユージン農産物パブリックマーケットからコーバリス・ファーマーズマーケットへ2019

    • 著者名/発表者名
      畢滔滔
    • 雑誌名

      立正経営論集

      巻: 52(1) ページ: 29-64

  • [雑誌論文] 有機農産物卸売業:OGC社の事例研究2019

    • 著者名/発表者名
      畢滔滔
    • 雑誌名

      立正経営論集

      巻: 52(1) ページ: 1-27

  • [雑誌論文] 米国における有機農産物の流通チャネルの発展:ファーマーズマーケットを中心に2019

    • 著者名/発表者名
      畢滔滔
    • 雑誌名

      日本商業学会第69回全国研究大会報告論集

      巻: 2019年 ページ: 187-196

    • 査読あり
  • [学会発表] 米国における有機農産物の流通チャネルの発展:ファーマーズマーケットを中心に2019

    • 著者名/発表者名
      畢滔滔
    • 学会等名
      日本商業学会第69回全国研究大会
  • [学会発表] 米国における有機食品生協の発展:ピープルフードコープに関する事例研究2019

    • 著者名/発表者名
      畢滔滔
    • 学会等名
      日本マーケティング学会コンファレンス2019年
  • [図書] シンプルで地に足のついた生活を望んだ ヒッピーと呼ばれていた若者たちによるソーシャルイノベーション:米国に有機食品流通を創り出す(仮)2020

    • 著者名/発表者名
      畢滔滔
    • 総ページ数
      -
    • 出版者
      白桃書房

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公開日: 2021-01-27  

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