本研究では、日本の新産業都市における商店街の変遷を明らかにした上で、商店街の発展に対して企業社会が与える影響を検討した。研究の結果、次の3点を明らかにした。①新産業都市の市街地商店街で繁栄しているところは少ない。②米国のかつての企業城下町の一部で見られた若年層の流入と起業による商店街の再生は、新産業都市では見られなかった。③その要因の一つは、日本の企業社会の特徴にある。大企業の従業員とその家族こそが安定的な幸福を享受しうる、という社会通念が形成されたこと、さらに起業して失敗する人のためのセーフティネットが整備されていないことが、起業家の輩出を困難なものにしている。
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