今後の研究の推進方策 |
次年度は,引き続きアメリカおよびイギリス鉄道会社の史料調査を継続する。今年度にすでに一部開始しているが,アメリカ鉄道会社間およびイギリス鉄道会社との比較を行い,その特徴を明らかにするとともに,複会計システムの変容に影響を与えた要因分析を実施していく予定である。 今年度の研究で一部明らかとなったが,これまで外部監査人によるアメリカ鉄道会社の監査は,1888 年のNew York, Ontario & Western 鉄道の事例を嚆矢とし,19 世紀末葉に流行したとされていた。しかしイギリス人会計士が顕著な活動をしていない19世紀中葉には,鉄道会社関連の人物を介して会計技術移転が生じたという事例があった。今後,人に着目した検討も行っていく予定である。 またアメリカ鉄道会社の資料は国内に相応の資料が所蔵されているが,19世紀中葉の資料ということで,資料劣化により閲覧不能となっている場合がある。したがって国外の図書館や公文書館への訪問調査・コピー依頼等を効果的に併用していく。また二次史料である新聞雑誌(Railway Age, Commercial and Financial Chronicle, Moody’s Manual, Railway Gazette, Accountant等)の調査も開始する。 得られた研究成果は論文として公表していくとともに,いくつかの学会での報告を予定している。
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