公正価値会計に関する問題は、従来、会計測定のアウトプット(財務諸表)の観点から検討されてきた。本研究は、会計測定のインプットとしての事象の観点から公正価値会計の問題を検討する。 多欄式財務諸表は、公正価値に関する会計データをそれ以外の会計データと別個に報告することにより、価値変動リスクに関する情報を分かりやすく、かつクリアに利用者に伝達することができる。この新たな財務諸表を用いることによって、利用者は自らの意思決定モデルに基づいて企業が保有する資産・負債の価値変動リスクを別個に分析・評価できるようになるので、多欄式財務諸表は利用者の経済的意思決定を促進する。
|