本研究の目的は、組織間コストマネジメントにおける協働の成否に影響を与える要因を抽出、検証することである。本年度は、上場企業(製造業)を対象とした組織間コントロールの実態を明らかにするための郵送質問票調査の実施を行うとともに、前年度から引き続き行っている非営利組織(各地方自治体)における公共施設の外注管理(指定管理者制度)を対象とした分析に取り組んだ。まず、前者は、繊維、パルプ・紙、化学、石油・石炭製品、ゴム製品、ガラス・土石製品、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、機械、電気機器、輸送用機器の業種に属し、原材料や部品等の供給を行っている事業部門を対象として、郵送質問票調査を実施した。調査においては、わが国の主要なサプライヤーがその買い手企業からどのようなコントロールがなされているのか、その影響要因等を明らかにすることを目的として実施した。具体的には、経常的に目標設定されている会計情報(財務・非財務情報)の範囲とその目標の達成困難度の測定を行った。次に後者にかんしては、わが国の地方自治体において公共施設の外部委託に関して、そのパートナーの選別段階、契約段階、事後的なモニタリングの段階でどのようなインタラクションがみられるのかを分析を行った。分析の結果、選別段階においては、既存研究が示すような市場ベースでの選別および社会的な関係性を重視した選別の類型化、そして、選別の類型および契約のあり方に対する影響要因の識別、選別と契約のあり方が組織間関係の成果および取引コストの増減にどのような影響を与えるのかについて分析を行った。
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