研究課題/領域番号 |
16K03985
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤井 秀樹 京都大学, 経済学研究科, 教授 (80173392)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コンバージェンス / 会計基準 / 会計教育 / 会計理論 / 比較制度分析 |
研究実績の概要 |
第1年度(平成28年度)は,研究計画調書に記載した研究計画に基づき,アメリカで刊行されている主要3ジャーナルの掲載論文のレビューと,アメリカの代表的な会計学テキストのレビューを行った。その結果,(1)主要3ジャーナルの掲載論文においては,資本市場研究や仮説検証型研究が減少し,それに代わって,探索型と称される新しいアーカイバル研究が増大していること,(2)主要3ジャーナルの掲載論文はほぼ例外なく実証理論に依拠しているのに対して,会計教育においては規範理論も含む多様な会計理論が取り上げられていること,(3)主要3ジャーナルの掲載論文の著者と,定評ある会計学テキストの著者とでは母集団が異なり,その限りで研究と教育の間で研究者の棲み分けが形成されていることが,明らかとなった。 以上の研究と並行して,大掛かりな制度改革が断続的に実施されているために,制度変化(制度移行)の分析に強みを発揮する比較制度分析(CIA) の応用研究に恰好の素材を提供する非営利組織会計の研究も行った。その結果,非営利組織会計は,組織形態別の差異を残しながらも,営利企業会計との同型化を深める形で制度変化が進行しつつあることが,明らかになった。 以上の知見等に基づいて,雑誌論文4本(うち査読論文1本),図書1冊(英語による共著・査読有り)を,公表することができた。さらに,2件の学会発表(うち1件は招待講演)を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
第1年度(平成28年度)は,研究計画調書に記載した研究計画に基づき,主要3ジャーナルの掲載論文のレビューを通じて近年のアメリカにおける会計研究の特徴を明らかにすると伴に,アメリカの大学(学部・大学院)における会計理論の教育実態に関する調査を行った。またそれと並行して,非営利組織会計の比較制度研究を行った。その成果として,雑誌論文4本(うち査読論文1本),図書1冊(英語による共著・査読有り)を,公表することができた。さらに,2件の学会発表(うち1件は招待講演)を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
第2年度(平成29年度)は,第1年度の研究成果と比較することを目的として,国内の主要学術誌の掲載論文をレビューする。会計教育における理論の役割については,藤永弘他[2001]『21世紀の大学像と会計教育の研究』等の先行研究に依拠して論点整理を行う。研究代表者がこれまで手掛けてきた制度派理論(とりわけCIA)に依拠した会計研究の発展的な展開を図る。CIAで重視される複数均衡,制度的補完性,歴史的経路依存性等が,一般的な会計理論にどのように応用できるかに的を絞って,研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に,九州大学の岩崎勇教授が主催されるワークショップにおいて本年度の研究成果「アメリカの会計研究に見る会計理論の展開」を報告する予定であったが,日程の調整がつかず,出張をとりやめたことが,次年度使用額が生じた主たる理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
関連文献(とりわけThe Accounting Review誌等の主要3ジャーナル)のさらなる渉猟を通して研究成果の積み上げを図ると伴に,研究成果の発表に当たっては,十分な余裕をもって日程調整を行い,助成金の計画的な使用に努める。
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