研究課題/領域番号 |
16K03991
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
庵谷 治男 長崎大学, 経済学部, 准教授 (20548721)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 管理会計システムの導入 / アメーバ経営 / 管理会計知識 / ルーティン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、管理会計システム(Management Accounting Sysutems:以下、MAS)が導入される際に、導入組織において会計ルーティンがどのように移転し制度化されるのかを明らかにすることである。3年目となる本年度は、引き続きMASとしてのアメーバ経営の管理会計システムが導入されるプロセスに着目し研究を実施した。また、知識移転ならびに制度論に関する著書ならびに論文を渉猟した。くわえて、管理会計知識が送り手組織から受け手組織へどのように移転するのかについて、分析視座を検討した。とくに、管理会計情報と管理会計知識の違いについて、他分野の研究者(組織論やマーケティング)と積極的に議論を交わし、管理会計知識の位置づけについて整理を進めた。 本年度の研究成果として、2本の論文執筆(うち1本が掲載)ならびに1件の学会発表がある。2本の論文ともに査読付き論文である。ひとつは単著「『時間当り採算』にみるバリエーションとその作用因―アメーバ経営導入研究のレビューに基づく探究」『原価計算研究』(第42巻第1号,2018年9月)である。もうひとつはすでに査読が終了し受理が確定している単著「管理会計の利用が直接・間接部門間の水平的インタラクションに与える影響-A社の事例に基づく探索的研究」『メルコ管理会計研究』(第11巻第2号,2019年近刊)である。学会発表は単独発表として「アメーバ経営の部門別採算制度と利益配分」(日本管理会計学会九州部会第55回大会,2018年10月20日,長崎県立大学佐世保校)である。 最後に、本研究の特筆すべき成果として昨年度に刊行した単著『事例研究 アメーバ経営と管理会計』が日本原価計算研究学会で学会賞(著作賞)を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度では、事例研究に進展をみることができなかった。この点が「やや遅れている」とした根拠である。研究代表者が当初想定していた平成30年度後半での調査に着手できなかった。その理由は想定していなかった2つの事象が発生したことによる。 第一に、管理会計分野のテキストの共同執筆(清水孝・庵谷治男『基礎管理会計』中央経済社,2019年4月刊行)がある。本テキストでは本研究との関わりも深いアメーバ経営だけでなく、現代の管理会計システムについて説明がなされている。そのため、大幅なエフォートを本テキストの執筆に割く必要が生じたため、本研究の進捗度にも影響を与えている。 第二に、研究代表者の所属変更がある。平成30年度末をもって長崎大学より東洋大学に移籍することとなり、平成30年度後半に移籍に伴う各種引継ぎ作業に時間を割く必要があった。また、長崎から東京へという長距離の移籍であったため、移籍後に研究環境を少しでも整えるために事前に準備に時間を割く必要があった。以上の2点により、リサーチサイト側の了承を得たうえで、調査を平成31年度以降に実施する措置を講じている。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度にリサーチサイトに調査を実施できるように、既に連絡を済ませている。今後は担当者との調査スケジュールの調整を行い、研究計画の遅れを取り戻したいと考えている。合わせて、調査結果の整理もデータが収集でき次第、随時実施していく。具体的にはインタビューの録音データの文字お越し作業を業者に発注し、その後データを分析・考察していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
リサーチサイトへのインタビュー調査が平成31年度にずれこんだため、当初見積もっていた旅費に大きな残額が生じた。現在、リサーチサイトと日程について交渉中であり、平成31年度中に旅費として使用予定である。
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