• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

管理会計システム導入にみる会計ルーティンの移転と制度化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K03991
研究機関東洋大学

研究代表者

庵谷 治男  東洋大学, 経営学部, 准教授 (20548721)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2022-03-31
キーワード管理会計導入 / 会計ルーティン / 管理会計知識 / 知識移転 / 制度化 / 定性的研究
研究実績の概要

本年度はコロナ禍ということもあり、当初予定していたリサーチ・サイトへの聞き取り調査を延期し、知識移転に関する文献調査を中心に行った。具体的には、国際経営の分野を中心に展開されてきた技術(知識)移転のストリームとナレッジ・マネジメントの分野を中心に展開されてきた知識移転のストリームの双方について先行研究を吟味し、整理を行った。国際経営の分野では日本のものづくり企業における「製品」「製造」「管理」に関する技術(知識)を海外子会社へいかにしてい移転するのかを中心に議論が展開されてきた。一方、ナレッジ・マネジメントの分野では資源ベース理論に基づき組織内の知識をいかにして探索、共有、活用するかという点(知識移転プロセスに関する研究)と、知識を資産とみなし知的資本をどのように測定するかという点(知識の測定に関する研究)とがみられた。管理会計分野では、国際経営およびナレッジ・マネジメントの両分野の影響を受けながら、多様な研究が展開されてきた。たとえば、日本的管理会計のひとつである原価企画が海外企業にどのように移転されるかといった研究群や、知識移転を促進させるための管理会計システムないしマネジメント・コントロール・システムの設計・運用に関する研究群など多様な展開がみられる。なかでも、本研究と関わりが深い管理会計導入という文脈では、管理会計知識の移転プロセスの解明がひとつの手掛かりになるとことが判明した。管理会計知識(Managmenet Accounting Knowledge)は一部の先行研究に登場するが、まだ概念規定が未着手であり、知識移転プロセスの知見と総合しながら検討していく必要がある。管理会計知識の移転は本研究のパラダイムに大きく関わってくる点であり、新たな分析視座の開発に役立つといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初は、2020年度に追加の聞き取り調査を行い、最終的な成果として論文を執筆予定であった。しかし、当初予定していたリサーチ・サイトへの聞き取り調査がコロナ禍の影響で延期となったため、予定を変更しさらなる文献調査を進めた。先行研究から得られた知見に基づき、会計ルーティンの移転を管理会計知識の移転という視点から改めて捉え直し、知識の保存庫してのルーティンの役割に着目した。すなわち、本研究のテーマにある会計ルーティンの移転と制度化を、送り手から受け手へ管理会計知識が移転されるなかで受け手で会計ルーティンが再現され制度化されると解釈していく。ただし、聞き取り調査が延期されたため、研究計画が「やや遅れている」ことに変わりはなく、現在は引き続きリサーチ・サイトとの関係を維持しながら、聞き取り調査の再開に向けて準備をしている段階である。

今後の研究の推進方策

研究計画は1年延長し、2021年度を最終年度として研究を続行する。21年度はリサーチ・サイトに対して再度の聞き取り調査を実施する計画である。コロナ禍の影響があるものの、当該リサーチ・サイトにおける管理会計の移転と制度化について引き続く探究していく。また、管理会計導入プロセスを管理会計知識の移転から改めて解釈し、理論的フレームワークを構築していく。既に理論研究の成果として論文を執筆しているため、21年度中の査読付き学術誌への採択を目指して進めていく。また、今夏には学会での発表を予定しており、これまでの研究成果を公表し、他の研究者から広く意見を仰ぐ考えである。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響により、当初予定していたリサーチ・サイトへの聞き取り調査が延期となったため調査旅費を次年度に繰り越す必要性が生じたことが最大の理由である。また、学会が中止となった関係で、当初見込んでいた出張旅費がなくなった影響も理由のひとつである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] アメーバ経営の高次学習が組織を改革する2020

    • 著者名/発表者名
      庵谷治男
    • 雑誌名

      企業会計

      巻: 72(7) ページ: 30-37

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi