「課題1:顧客関係性戦略とロイヤリティプログラムの設計、評価および業績への影響」は、ロイヤリティプログラムを戦略的に設計・計画しているのか、そして、その効果はどのように測定され、評価、コントロールされているのかを明らかにすることが目的であった。主要なロイヤリティプログラムであるポイントプログラムが電子マネーと抱き合わされることにより一般的に広く普及したもののその効果を研究対象であった小売業の各社が把握することが難しくなった。そのため、この研究課題の実施期間で、その研究対象を小売業から宿泊産業へと変更した。それにより当初本研究で課題としていた顧客関係性戦略とロイヤリティプログラムの関係を宿泊産業の特質に合わせて、2つのケースに分ける必要が出た。すなわち、宿泊産業の対象客(価格帯、用途)であった。なお、これらの研究成果は、『専修経営論集』Vol.105(2018)で論文として掲載、8th International Conference on Tourism Management and Related Issues(2018年9月)に報告を行った。 「課題2:企業のライフサイクルと顧客関係性戦略に基づく収益・コスト構造の変化」は、B to Bを中心とした企業間関係が収益・コスト構造およびライフサイクルとどのように関係するか、について明らかにしようとした。企業のライフサイクルによって、顧客関係性が変化し、それによって収益・コスト構造が変化することは日本のデータを使用しても明らかにすることができた。そこから着想を得て、顧客関係性戦略が財務的な結びつきと関係する場合、顧客関係性の集中度合いがコスト構造に強い影響を与えるかどうかについても分析を行った。この成果については、European Accounting Association 41 Annual Congressで報告した。
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