研究課題
本研究では、現代社会が抱える社会的共通資本の外部性問題を包括的に考察対象とし、インセンティブ分析の思考枠組みを方法論的基礎に用いて、情報の非対称性や契約の不完備性に伴う非効率の改善に向け学際的なディスクロージャー論を展開している。本研究のユニークな点は、外部性問題として、自然資本(地球環境等)のみならず、社会関係資本(企業不祥事・地方創生)や制度資本(金融バブル・監査の失敗)を巡る今日的諸課題を情報開示という共通の分析枠組みの下で、各経済主体における開示インセンティブの視点から横断的に考察しているところにある。そこでは、各種非財務情報を含む開示問題について、意思決定有用性と同時に外部性制御という政策目的も追求する観点から考察を進めているが、情報の非対称性緩和を軸にしたディスクロージャー論(「開示の会計学」)として、外部性制御に向けた開示規律の向上策は重要な考察対象と考えている。これまで環境・地域コミュニティや金融・監査等の外部性問題は個別に独立して論じられてきたが、そうした社会的共通資本に共通して適用可能な開示規律の論理やインセンティブ設計を見出し得ると考えており、こうした総合化は本研究において初めて扱われる着眼点である。そこでは、自然資本や社会関係資本(環境・地域コミュニティ等)、さらには制度資本(金融・監査)に係る外部性制御に向け、ともに原因者への対応インセンティブを引き出すべく、開示規律を活用した枠組みの下で社会的価値の実現にも貢献する開示のあり方を提示する。環境等政策の観点から導いた開示の論理は、自然資本のみならず社会関係資本や制度資本など社会的共通資本の外部性制御を論ずる際にも有効であり、統合報告のみならず広い意味での開示論の文脈でも応用可能と考えられる。
1: 当初の計画以上に進展している
2018年9月には研究成果を書籍と発刊する予定。
9月に研究成果を国内で出版した後は、海外学会等でも発表していく予定。
研究の進展を受けて2018年度分の一部を2017年度に余裕をみて前倒し計上したが、そのうちに使用残が生じたものであり、当初計上した2018年度に使用予定である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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