研究課題/領域番号 |
16K04000
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
吉田 栄介 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (20330227)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 主観的業績評価 / 包括的業績評価 / 予算厳格度 / 非財務指標 / 客観的業績評価 / テンションマネジメント / 原価企画 / プロセス産業 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,管理会計の新機能として,テンション・マネジメント(「張り」のマネジメント)機能に関する知見を深めることにあった。より具体的には,第1に,業績目標の設定範囲(財務・非財務,定量・定性),予算コントロールの厳格さ,ならびに業績評価の主観性・客観性が業績評価におよぼす影響について,第2には,製品開発コストマネジメントである原価企画を対象として,テンション・マネジメントが製品開発成果におよぼす影響について,本年度は,追加的文献調査と事例研究,学会での中間報告を計画していた。 追加的文献調査は計画通り進行し,国内外での学会・大学での研究成果の発表・情報収集・意見交換から観察事象を解釈する上での貴重なヒントも得ることができた。加えて,企業・非営利組織への訪問調査も計画通り進行した。 以上の調査・研究から,第1の研究課題について,郵送質問票調査データに基づく分析の結果も踏まえ,不確実性の高い競争環境下において,予算厳格度が低い場合に,包括的業績評価が組織業績を向上させることを確認した。一方,不確実性の低い環境不確実性下では,予想された高い予算厳格度と限定的業績評価の適合関係は確認できなかった。第2の研究課題については,郵送質問票調査データに基づく分析の結果も踏まえ,挑戦的目標原価の設定と部門間協働の交互作用が原価低減を促進する関係について,産業別(加工組立・プロセス産業)に分析・調査した結果,プロセス産業でのみ確認された。この結果は,「日本型プロセス産業」の特徴を反映するものであると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献の入手環境は優れており,文献調査は計画通りに進行した。訪問調査についても,訪問先とは以前から協力関係が築けており,計画通りに進行した。2つの研究課題のそれぞれについて,研究成果の中間報告として学会報告も実施でき,計画通り,順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り,手元データの分析を進め,フォローアップのための企業・非営利組織への訪問調査を重ねる計画である。それらを踏まえて,執筆中の論文を加筆修正しつつ,世界への情報発信のため,英文による海外ジャーナルでの論文掲載を目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた国内企業への訪問調査1件について,講演をすることで先方から旅費が支出されることとなり,研究費からの支出が不要となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
国内での訪問調査を追加的に実施する計画である。
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