研究課題/領域番号 |
16K04003
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
小酒井 正和 玉川大学, 工学部, 准教授 (50337870)
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研究分担者 |
田坂 公 福岡大学, 商学部, 教授 (80435932)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 管理会計 / 原価企画 / コストマネジメント / 業績評価 / ITマネジメント / 無形の資産 / 情報資本 / インタンジブルズ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、管理会計論および経営情報論の文理融合的観点から、原価企画のグローバル化・現地化に貢献できるIT組織への変革を促す業績評価システムのあり方について探求し、グローバル時代の原価企画活動のリファレンスモデルを提示することである。第2年度にあたる平成29年度はケーススタディによる実証研究の実施し、現地訪問による調査を行った成果をまとめることができた。 第1に、グローバル化対応型原価企画に関する研究課題およびIT組織の業績評価システムに関する研究課題に対して、在マレーシアのアセンブラー(組立メーカー)およびサプライヤー(部品)メーカーへの訪問調査を行うことによって、原価企画の移転状況を研究することができた。この成果は、「マレーシア進出日本企業における原価企画の現地化の課題―現地化コンテクストの比較分析―」という論文などにまとめ、公表することができた。 第2に、グローバル化対応型原価企画に関する研究課題およびIT組織の業績評価システムに関する研究課題に対して、マレーシア進出企業の生産機能、開発機能、原価企画活動の移転状況を調査するとともに、その際に重要な要因となるインタンジブルとしての情報資本(information capital)の構築の度合いなどを調査し、グローバル化された製品企画・設計活動におけるIT組織の貢献について研究できた。この成果は、「ASEAN進出企業における原価企画活動の現地化の促進要因-現地化コンテクストの比較分析-」という研究発表として公表できた。また、すでに学術誌へ投稿を済ませ、現在審査中となっている。 第3に、グローバル企業の原価企画実践に貢献できるIT組織に関する仮説モデルの研究課題に対して、基本的なモデルを設定できた。この成果は、「マレーシア進出企業における原価企画の現地化」という招待講演において公表できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終的な研究課題は、グローバル企業の原価企画実践に貢献できるIT組織に関する仮説モデルの検証を行うことである。平成29年度の目標はグローバル企業の調査を進めると同時に、仮説モデルの構築を行い、実証研究を開始する予定であった。そのために、海外の現地法人への訪問調査を進め、実際に国内外での原価企画実践の相違を研究し、論理的な枠組みの構築を進めることができた。全体的な研究課題である、①IT組織の業績評価システムの研究、②グローバル化対応型原価企画の研究、③グローバル企業の原価企画実践に貢献できるIT 組織に関する仮説モデルの検証のついて、それぞれ順調に成果を公表できている。それらは査読付き論文2編、管理会計の著書1編(2章分)、学会報告3回、招待講演1回という形で報告できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は順調に研究成果をまとめることができている。平成30年度は最終年度となるため、グローバルなメーカーに関するリファレンスモデルを提示する。そのために、平成29年度までで得られた研究成果、とりわけ情報資本の構築に関係する課題についての研究を発展させ、ケーススタディとして実証研究を継続させ、それにもとづきグローバル企業の原価企画実践に貢献できるIT組織への変革に必要な業績評価システムに関するリファレンスモデルを提示するようにする。 マレーシア進出メーカーについてはまだまだ発達途上にあり、今後の日本メーカーにとっても参考となると同時に学術的位置づけとしても価値が高いことが分かってきた。そのため、本年度もマレーシア進出メーカーに対してさらなる調査を進め、グローバル対応型原価企画実践に貢献できるIT組織の業績評価システムに関する研究課題の達成を果たしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、夏期に計画していたASEANに進出した日本企業への調査について、調査先を確保するのに手間取ったことなどがあり、計画通りに海外渡航をできず延期することとした。そのことによって支出できなかった経費があった。また、年度末の3月に海外渡航を行ったが、その旅費の精算が年度内に間に合わず、翌年度の執行とすることとなったため、次年度使用額が生じていた。
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